2014年12月31日水曜日

良き上司にめぐりあえる幸せ

 私が店長を務めていたお店のオーナーは、私が以前に勤めた会社で、直属の上司でした。

 その方とは、足かけ20年以上のお付き合いになります。

 私が初めてコンビニ業界に入って1年余りが経過し、当時私が目標としていた職務に新人として就いた時の上司がその方でした。

 社会人としての心構えをはじめ、仕事において重要なことを私たちに叩き込んでくださいました。

 20代後半の、職業人として最も大切な時期に、その上司とめぐりあったことは、今から振り返れば、その後の私の仕事人生を大きく左右したものだったと感じます。

 一番最初の面談で、その方から言われたことは、「仕事のできないやつになるな仕事バカにもなるな」でした。

 その言葉に対して、私は、「仕事はとても大切なものであるが、人生においては仕事だけが重要なのではない」というメッセージとして受け止めました。

 そして、その言葉の通り、その方は職場の上司という立場を超えて、一人の人生の先輩として、私たちに様々な言葉を投げかけたり、一緒に遊んでくれたりしてくださったのです。

 仕事に対しては非常に厳しい反面、プライベートなことはとても温かく見守ってくださる方でした。

 6年半の店長としての務めを終えて、オーナーにとって私は本当に良い部下だったのかという疑念はぬぐえませんが、学ばせていただいたことを胸に、これから真っ直ぐ進んでいこうと思います。

 そして、ときおり、自分の成長した姿をその方に見せられたらいいなと思っています。

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 この一年も、今日1日で終わろうとしています。

 来年も皆さまにとって良い一年であることをお祈りいたします。

 どうぞ良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いいたします。

2014年12月30日火曜日

魅力的な働き手としての「シルバー世代」

 先週の記事(ターゲットとしての団塊の世代)で、お客様としてのシルバー世代の魅力について書きました。

 今日は、働き手としてのシルバー世代の魅力について考えたいと思います。

 先月の初め、興味深い記事が報道されました。

 『モスバーガー 高齢店員「モスジーバー」積極採用して好影響
 http://news.livedoor.com/article/detail/9424326/

 私が記事の中で注目したのは、
おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔は、マニュアルにはない温かみが感じられて和みます」という30代OLのお客様の反応
 「高齢者の方々は無遅刻無欠勤で非常に真面目に働いてくれる。それにお客様の反応も良かった。弊社は若い世代が中心の客層でしたが、同世代の方が働く姿に安心感があるためか、高齢者のお客様が増えるという相乗効果もありました」というモスバーガー広報担当者のコメント
の2か所です。

  新しい商品やサービスがますます増える一方のコンビニエンスストアにあっては、温かみ和みはなかなか実現しにくい方向にあると言えます。

 そういった中で、シルバー世代の方々が生み出す温かみ和みは、とても魅力的なものに映ります。

 先週の同記事で書いた、接客のプロとしてのコンビニ・コンシェルジュには、このシルバー世代の方々が適任のような気がするのは私だけでしょうか。

2014年12月29日月曜日

業務分担の理想的な姿とは

 お店での理想的な仕事分担のかたちとは、どのようなものでしょうか。

 多くのお店では、同じ時間帯に働くスタッフに対して、レジ接客や品出し、清掃などの業務をできるだけ平等(同じ割合)に与えようとしているのではないでしょうか。

 スタッフ個人に担当が任されている発注業務は別にして、それ以外の(どのスタッフが実施してもよい)業務については、実施するスタッフに偏りがあると、何か不公平な感じがしてしまうのは私だけでしょうか。

 以前の記事で紹介した性格診断テストを実施してスタッフの皆さんの資質などを理解しようとする中で、次第に私は、個々のスタッフの仕事に対する適性や好みに応じて、担当してもらう業務の内容と時間配分を変えた方がよいのではないかと思うようになりました。

 実際に、採用時に「品出しが好きです」と言っていたスタッフは、確かに品出しをさせれば予想以上のスピードで習得していきます。しかも、作業は「正確かつ速い」のです。

 また、「こまめに身体を動かすのが好きです」と言うスタッフは、自ら進んで、清掃や片づけに精を出してくれます。しかも「喜んで」やってくれます。

 私のような、清掃や片づけが苦手な人間からすれば、信じられないような気持ちになりますが、それこそが「人間」というものであり、「十人十色」ということなのでしょう。

 このことにやっと気づいた私は、できるだけスタッフご本人の好みに合わせた人員配置を心がけましたが、先進的なオーナーさんや店長さんは、とっくの昔に気づいていて、すでに実施していることかもしれません。

 接客が好きなスタッフにはレジカウンター周りでの仕事を多くし、発注が好きで得意なスタッフには担当カテゴリーを多くするなどして、スタッフの適性や好みと実際の業務分担をできるだけ適合させることによって、スタッフご自身の仕事への意欲や働きがいを向上させるだけでなく、数字としての成果にも結びつけられるのではないかと思います。

2014年12月26日金曜日

トップはつらいよ

 過去の記事の中で、私自身のマネジメントの問題について、何回かお話ししました。

 2008年の開店以降、私はまさに「突っ走る存在」でした。

 お店を守る責任と重圧から来る、強いトップダウンのマネジメントで、スタッフの皆さんを良くも悪くも巻き込んできました。

 初期の頃から、私は、「自分の感情を抑えながら仕事をするのは良い結果を生まない」と考えていて、スタッフの皆さんに注意をする場合でも、優しく注意するのではなく、険しい表情とともにストレートに注意していました。

 そのほうが、同じミスや仕事上の不都合を再発させる可能性が低くなると考えていたからです。

 このやり方は、冷静に考えると、スタッフの恐怖心を利用したマネジメントです。

 当時の私は、このマネジメントにどれだけの弊害があるのかに気づいてはいませんでした。

 その後、スタッフの急な退職の申し出があったり、オーナーから諭されたりする中で、次第に、自分自身のマネジメントを振り返るようになってきました。

 それでも、私自身の性格や資質から来るものはなかなか変えられません。その後も、相変わらず、時々私の感情が出てしまう場面がありました。

 こうした中で、私が一番強く感じたのは、「トップには忍耐が必要だ」ということです。

 自分の感情よりもスタッフの感情を優先して考えるスタッフの成長を辛抱強く見守る、というようなことには、トップの忍耐力が強く求められます。

 なかなか耐えることのできない私は、組織のトップにはあまり向いていないのだと、冷静に自覚するようになりました。

 世の中の組織のトップには、忍耐の必要を感じながら、それと闘っている方が大勢いらっしゃるのかなぁ、と思わずにはいられません。

2014年12月25日木曜日

成長する人の特徴

 お店での仕事を振り返ってみると、スタッフに対して同じようにトレーニングをしても、人によって成長の度合いがかなり異なることを実感します。

 私とスタッフとの相性や、トレーニングの内容自体の問題スタッフ自身に仕事への興味があるかなども、その理由として考えられますが、今回は、スタッフ自身の「自己認識能力」という観点から考えてみたいと思います。

 心理学の用語で、『メタ認知』というものがあるそうです。

 これは、一言でいうと、「自分自身を客観的にみる力」のことです。

 例えば、今、あなたが部屋の中にいて、スマホやパソコンでこのブログの記事を読んでいるとします。

 「ブログの記事を読んでいるあなたの姿を、もう一人のあなたが(部屋の天井の方から)見ている」という認識の仕方が「メタ認知」となります。

 この、自分自身を客観的にみる力が備わっている人ほど、成長のスピードが早いような気がします。

 私の場合は、お店で仕事をしている時に、「今、この仕事をしている場合かな。他の仕事を先にやった方が効率的に仕事が進むんじゃないかな」と思い直して、仕事の順序を変えたことがよくありました。

 こういうことを自分で意識するようになると、それが習慣となって、結果として仕事の優先順位に沿った仕事が自然とできるようになります。

 自己認識能力の高い人は、自分のしたことに対して、振り返る(内省する)ことができるため、それが『気づき』となって、さらに自分自身を自ら変えていくことができます。

 こういったことから考えると、お店のトップはスタッフに対して、指示をするスタイルではなく、スタッフが自らの仕事の仕方を自覚し、振り返ることができるようなスタイルが望ましいのかもしれません。

2014年12月24日水曜日

「押し売り」の功罪

 先日、プリンターが壊れてしまったので、私は急いで、ある家電量販店に買いに行きました。

 事前に候補機種を調べ、購入するプリンターを決めてからお店に向かいました。

 プリンター売り場に行くと、一人の女性販売員が近づいてきて、私が買おうとしているプリンターとは違うメーカーの機種をしきりに勧めてくるのです。

 彼女の名札を確認すると、裏側に某メーカー名が書いてあるのがチラッと見えました。

 私は、家電量販店勤務の経験があるのでわかるのですが、量販店の売り場には「ヘルパー」といって、自社製品を拡販するために各メーカーから派遣されたスタッフがいるのです。

 彼女があまりにも強引に自社メーカーのプリンターを勧めてくるので、私は嫌気がさして、何も買わずにその場を立ち去り、お店を後にしました

 結局、プリンターはネットで買うことにしました。

 私は、押し売りをするのも、されるのも大嫌いなのですが、このような、お客様の都合を無視した強引な販売手法には、いまさらながら、うんざりさせられるものがあります。

 かといって、押し売りのすべてがダメだとも言い切れません

 お店で半ば強引に勧められて買った商品が、思いのほか美味しくて、その商品にハマるようになったというような話は、よく耳にします。

 要は、自分の都合や立場を超えて、売る側に、その商品に対してどれだけの自信があるのか、あるいは、お客様に食べて(使って)もらいたいという気持ちがどれだけあるのかが重要なのかもしれません。

 年末を控え、クリスマスケーキの引き渡しや、おせちの予約追い込み等で忙しいこの時期、風邪などひかぬよう、お身体をご自愛ください。

2014年12月23日火曜日

ターゲットとしての「団塊の世代」

 先日、あるお店のオーナーさんとお話をしていて、良いヒントをいただきました。
 今日は、そのオーナーさんへの感謝の気持ちをこめて、一本の記事を書きます。

 そのオーナーさんはいわゆる「団塊の世代」の方です。

 団塊の世代(第一次ベビーブーマー)は、厳密に言うと、1947年から1949年までの3年間に生まれた世代を指すのだそうです。現在の年齢で、65才から67才までとなります。

 この年齢を中心とした世代は、すでに定年を迎えた人が多く、時間的にも資産的にもゆとりのある世代として、個人消費の牽引者という観点からも注目されています。

 また、この世代は、まだ現役で仕事をしている人も多く、健康的で、エネルギッシュな生活をしている人がたくさんいらっしゃいます。

 私たちコンビニ業界においても、お店の売り上げということからみて、団塊の世代はとても魅力的に映ります。

 今日は、接客の観点から、団塊の世代、あるいはその周辺の年齢のお客様への対応について考えてみたいと思います。

 私も「初老」と言われる年代に差しかかりましたが、以前よりも、「自分の話を他人に聞いてもらいたいという欲求が強くなった気がします。

 人生を50年も生きると様々な経験をしますが、そういったものを通して、自分が考えていることや、家族を含めた身の回りのことなどを他人に話したいという気持ちが出てくるのです。

 核家族化が進み、老夫婦だけ、あるいは一人暮らしへの環境変化が、さらに拍車をかけます。

 そのような中で、例えば、イートインのようなスペースを使って、年配のお客様のお話をとことんまで聞いてくれるスタッフがお店にいたらどうでしょうか。

 お客様と濃密で距離感の近い接客ができるスタッフがいれば、お客様は、そのスタッフがお勧めする商品やサービスに対し、警戒することなく、喜んで受け入れてくれるでしょう。

 一流ホテルにも、コンシェルジュという接客のプロフェッショナルがいます。

 そういうスタッフがコンビニにもいたら、とても面白いと思います。

2014年12月22日月曜日

買わねくていいから、楽しんでいってけろ!

 これは、書店で偶然、目に留まった本の帯に書いてあったキャッチコピーです。

 この面白いキャッチコピーにピンと来るものがあったので、私はあまり中身を確認しないまま、レジへこの本を持っていきました。

 大当たりの本でした

 ここでは詳細を述べませんが、著者は茂木久美子さんといって、その業界では知らない人がいない、山形県出身の元カリスマ新幹線販売員です。

 文庫本、全197ページの中に、私たちコンビニ業界の人間、とりわけお店で働く方々にとって、非常に多くのヒントと、励みになるような言葉がぎっしりと詰まっています

 文章はとても読みやすく、近くで茂木さんが自分に語りかけているような臨場感すらあります。

 茂木さんの仕事への情熱や前向きな姿勢がとても良く伝わってきます。

 接客に対する考え方、お客様へのお勧め販売に対しての葛藤、お客様との感動的エピソードなど、お店のトップだけでなく、すべてのスタッフの皆さんが読んでも、何かを必ず感じさせる内容だと思います。

 私は、価値観の押し付けになるので、他人に特定の書籍をあまり強くお奨めしないようにしているのですが、この本には、そういうためらいを吹き飛ばすような面白さと感動があります。

 書店で見かけた際には、是非ページをめくってみてください。

 『コギャルだった私が、カリスマ新幹線販売員になれた理由』(茂木久美子・著、日経ビジネス人文庫)

2014年12月19日金曜日

『ひび割れ壺』の話

 以前に読んだ本の中に、私の心を揺さぶるような寓話がありました。

 ご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、それは、『びび割れ壺の話』です。

 このお話は、たぶん、読む人の立場や状況によって、その捉え方は大きく違うものになると思います。

 私は、自分自身を「完璧な壺」に重ね合わせて読んだとき、私の過去のマネジメントに対して猛省することを自分に突き付けられたような気がしました。

 少しだけ長くなりますが、全文をご紹介します。

 皆さんはこのお話をどのように読まれるでしょうか。

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 あるインドの水汲み人足は、二つの壺を持っていました。

 天秤棒の端にはそれぞれの壺をさげ、首の後ろで天秤棒を左右にかけて、彼は水を運びます。

 その壺のひとつはひびが入っています。もうひとつの完璧な壺が、小川からご主人の家まで一滴の水もこぼさないのに、ひび割れた壺は人足が水をいっぱい入れてくれても、ご主人の家に着く頃には半分になっているのです。

 完璧な壺は、いつも自分を誇りに思っていました。なぜなら、彼が作られたその本来の目的をいつも達成することができたから。

 ひび割れ壺はいつも自分を恥じていました。なぜなら、彼が作られた本来の目標を、彼は半分しか達成する事ができなかったから。

 2年が過ぎ、すっかりみじめになってひび割れ壺は、ある日、川のほとりで水汲み人足に話しかけました。

 「私は自分が恥ずかしい。そして、あなたにすまないと思っている

 水汲み人足はたずねました。

 「何を恥じているの?

 「この2年間、私はこのひび割れのせいで、あなたのご主人様の家まで水を半分しか運べなかった。水がこぼれてしまうから、あなたがどんなに努力してもそれが報われることができない。私はそれがつらいんだ

 壺は言いました。

 水汲み人足は、ひび割れ壺を気の毒に思い、そして言いました。

 「これからご主人様の家に帰る途中、道端に咲いているきれいな花を見てごらん

 天秤棒にぶら下げられて丘を登っていく時、ひび割れ壺は、お日様に照らされた美しく咲き誇る道端の花に気づきました。

 花は本当に美しく、壺はちょっと元気になった気がしましたが、ご主人様の家に着く頃には、また水を半分漏らしてしまった自分を恥じて、水汲み人足に謝りました。

 すると彼は言ったのです。

 「道端の花に気づいたかい?花が君の側にしか咲いてないのに、気づいたかい?

 僕は君からこぼれ落ちる水に気づいて、君が通る側に花の種をまいたんだ。

 そして君は毎日、僕達が小川から帰る途中、水をまいてくれたんだ。

 この2年間、僕はご主人様の食卓に花を欠かしたことがない。

 君があるがままの君じゃなかったら、ご主人様は、この美しさで家を飾る事はできなかったんだよ

 (作者不詳、菅原裕子・訳)

子どもの心のコーチング』(菅原裕子・著、PHP文庫)より引用

2014年12月18日木曜日

性格診断テストを実施してみたら....

 以前の記事(発注に向く人、向かない人)の最後に、スタッフの資質を把握するために性格診断テストを実施したことを書きました。

 詳細についてはまだ書いていませんでしたので、今日お話ししたいと思います。

 この診断テストは、元々は、自分の適性に合った仕事を見つけることを目的に開発されたものですが、私はこのテストの結果を用いれば、スタッフの資質を把握したり、ご本人に合った業務を探したりできるのではないかと考え、実施しました。

 この診断テストは、34の質問事項を通して、それぞれ対比する以下の4つの要素同士を掛け合わせる(4×4=16)ことで、性格を16のパターンに分けます
  1.  『外向型』 VS 『内向型
  2.  『五感型』 VS 『直観型
  3.  『思考型』 VS 『情緒型
  4.  『決断型』 VS 『柔軟型
 診断結果として、以下の16分類の性格が導き出されます。

 責任者、努力家、社交家、組織人、冒険家、実務家、楽天家、職人肌、リーダー、アイディアマン、企業家、戦略家、チームプレーヤー、理想家、創作者、芸術家

 診断テストを実施して私が実感したことは、「自分の人を見る目も、あてにならないな」ということでした。

 「楽天家」という、どんぴしゃな診断結果を出すスタッフがいる一方で、私の見方とは大きく違った診断結果を出すスタッフも多いのです。

 診断テスト自体にどの程度の客観性があるかは、はっきりとはわかりませんが、少なくとも、私がスタッフを見たときの認識と、スタッフが自分自身を見たときの認識との間には、大きなズレがあることは確かでしょう。

 ちなみに、私の診断結果は、「戦略家」でした(自分では当たっていると思います!)。

 もし、興味がおありでしたら、実施してみてはいかがでしょうか。

 『あなたの天職がわかる16の性格』(ポール・D・ティーガー、バーバラ・バロン・著、主婦の友社)

2014年12月17日水曜日

スタッフが成長する喜び

 人への「投資」というと、どうしても「元をとる」ということを連想してしまいます。

 通常、「投資」という言葉には、見返りとしての「回収」という言葉がついてまわります。

 設備・機械への投資の場合は、見返りとしての生産量の増加や、それに伴う利益の上昇という、目に見える数字となって結果に表れます。

 しかし、人への投資の場合には、はっきりと目に見える形では、結果には表れてきません

 毎月、ぎりぎりの経営を余儀なくされているお店では、短期間で数字に表れてこない、人への投資には、なかなか積極的になれないのは当然のことでしょう。

 では、人への投資とは、お給料や福利厚生などの待遇面を良くすることだけなのでしょうか

 私がお店にいた時に、最もやりがいを感じる瞬間は、手塩にかけて育てたスタッフが成長していることを実感した時でした。

 最初の頃は、いちいち指示を受けないとまともに仕事ができなかったスタッフが、成長するにつれて、自ら判断し、他のスタッフと連携をとりながら、主体的に仕事に取り組めるようになった姿を見た時には、私はいつも無上の喜びを感じていました

 まさに、「店長冥利に尽きる瞬間です。

 子育てと同様に、人が人を教育することの難しさ、大変さには想像を絶するものがあります。

 それでも、時には励まし、叱り、時にはぶつかり合いながら、人と人がお互いに切磋琢磨していく中に、人としての成長や生きがいがあるのではないかと、私は強く思っています。

 就職等の理由でお店を卒業するスタッフに、心の底からの感謝のことばを言われた時などは、本当にこの仕事をして良かったと、いつも実感していました。

 手塩にかけて育てたスタッフが、卒業等で、たとえお店からいなくなったとしても、その人が陽に陰になって、お店を守ってくれる存在になることを私は信じています。

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 これまで1か月間、一つひとつのテーマについて、できるだけ順を追って書くように努めてきました。今後は、テーマについてはランダムに、日々感じることを綴っていきたいと思います。

 永らくお読みくださいまして、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

2014年12月16日火曜日

人に投資するということ

 世間では、企業の経営資源として、「」、「モノ」、「」、「情報」を挙げることが多いでしょう。

 近年の少子高齢化の進展を前にして、設備投資(モノ)や資産運用・投資()と並んで、人材投資(人)を重視する企業が増えています。

 少子化の時代になると、企業は優秀な社員を自社に取り込むことを目的に、社内の福利厚生を手厚くしたり、研修制度を充実させたりして、社員の満足度を高めようとします。

 若い優秀な社員を採用し、育てていかなければ、いずれは企業の存続が危ぶまれるという危機感の表れでしょう。

 では、このことに関して、私たちコンビニ、とりわけお店ではどのように考えたら良いでしょうか。

 冒頭に挙げた経営資源ということからコンビニエンスストアをみれば、要素としては、「のウェイトが突出して高いといえるでしょう。

 製造業の場合は、機械(設備)そのものが利益を生み出しますが、コンビニの場合はショーケースや商品陳列棚、あるいはファーストフード什器くらいしか設備といえるものがなく、その大半は本部からの貸与物です。

 また「お金」に関しても、開店当初の自己資金や借入金は別にして、毎月の資金繰りは本部の仕組みに乗っかってなされる部分が多く、お店独自で資金を運用する余地はほとんどありません

 ですので、コンビニにおいては、ますますへの投資の重要性が高くなるのです。

 コンビニに限って考えれば、これからの時代は、への投資をどのように、どれだけの手間と時間をかけて行うかが大きな鍵となるでしょう。

 次回は、この「人」への投資についての具体的な取り組み方を考えたいと思います。

2014年12月15日月曜日

作業割り当て表の弊害

 今日は、作業割り当ての弊害について書きたいと思います。

 作業割り当ての弊害ではなく、ツールとしての作業割り当て」についてです。

 前回の記事でも書きましたが、私がいたお店ではオープン以来、3年以上、作業割り当て表を使って仕事をしていました。

 オープン時のスタッフは、ほぼ全員がコンビニ未経験でした。

 作業割り当て表を作り、鮮度管理をはじめとする主要な作業を一覧にすることで、うっかり作業が漏れたりしないように、活用を義務づけていました

 作業終了後は実施した本人がサインすることを強く義務づけており、サインに漏れがあろうものなら、私がやかましく注意することもありました。

 習慣というのは恐ろしいもので、続けていると次第にサインの記入漏れがなくなるのはもちろんのこと、作業自体にも目立った漏れは少なくなってきます

 しかし、弊害として、スタッフには自分の観察に基づいて行動するというようなことが少なくなってきます。

 スタッフが何か仕事をしようとした時に、売り場の状況を観察することから始めるのではなく、まず作業割り当て表を見ることからスタートさせてしまうのです。

 これではスタッフの観察力が磨かれないばかりか、仕事の進め方としても、ちぐはぐになったり、お客様をお待たせしてしまったりするケースが目立つようになったのです。

 一言でいうと、スタッフに仕事の優先順位の判断力がつかなくなるのです。

 作業割り当て表は作業項目の一覧であって、そこからは今の時点でどの作業を優先すべきかは判断できないからです。

 このような理由で私は作業割り当て表を廃止し、前回の記事で述べたような取り組みを始めることになったのです。

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作業割り当てについては、姉妹ブログ『シフトリーダーを応援するブログ』で詳細を述べております。よろしければご覧ください。(2015.3.29 追記)

2014年12月12日金曜日

理想的なシフトとは

 お店の利益を上げるために、シフトに関連することで最も重視しなければならないのは、人時生産性(労働生産性)です。

 人時生産性とは、ある一定のスタッフの人数でいかにより多くの仕事をするかということです。

 この人時生産性を高めることが結果として、売り上げに対する人件費の比率を下げることになり、お店に利益をもたらします

 一般的に、人時生産性を高めると聞くと、従業員をこき使って利益を稼ぎ出すというイメージがありますが、私が言いたいのはそういうことではありません。

 チェーンによって表現の仕方は異なると思いますが、私が在籍していたチェーンには「作業割り当て」という考え方があります。

 「作業割り当て」と聞くと、「どのスタッフが、いつ、どんな作業をするか」という、いわば「作業分担」を連想します。

 私がいたお店でも開店以来、「作業割り当て表」を使ってこれを中心にお店をまわしていました。しかし、オープンから3年以上経って、この作業割り当て表の弊害を感じたため廃止にしました。

 そして、作業割り当て表を使わずに、それ以上の仕事の効率化を目指すことにしました。

 それは、トップがいちいち細かい指示を出すのではなく、スタッフ自らが判断し、他のスタッフと連携をとることで、お客様をお待たせすることなく、仕事をより楽に、無駄なく終わらせることを追求するものです。

 これを目指すには、高校生を含めた全スタッフへの地道な実地トレーニングが必要でした。

 しかし、スタッフの理解が深まるにつれて、仕事が効率化するだけでなく、スタッフ自身が成長するという、予想外の成果が生まれました。同時に、私の仕事上のストレスも軽減されるという副産物も生まれました。

 今振り返ると、お店に利益をもたらす理想的なシフトの姿は、「少数精鋭」なのではないかと思っています。

2014年12月11日木曜日

利益を生むシフトとは

 お店の三大経費は多い順に、人件費、不良品費、棚卸減耗費(品減り)となります。買い物袋などの消耗品費が棚卸減耗費を上回っているお店も多いかもしれません。

 お店の最終利益を考える上では、やはり、金額の一番大きい人件費に手を付けることが重要です。

 ここで私が言いたいのは、人を減らしたり、シフトを削ったりすることではありません。

 まず考えるべきは、シフトの組み方です。組み方というよりは、調整の仕方といった方が良いかもしれません。

 私がお店にいた時に、シフトづくりに関し、意識して行っていたのは次のようなことです。

  • シフト表は、どのスタッフにも見やすい場所に掲示する
  • シフト表は、つねに1か月以上(私の場合は5週間)先まで掲示する
  • できるかぎり、曜日別に固定のパターンをつくる
  • スタッフからの希望事項は、わかった時点でメモで提出してもらう(数か月先のものまで)
  • メモをチェックしながら、必要な調整はできるかぎり早期に行う
  • 勤務時間のスライドや増減の必要がある場合には、早期にスタッフと直接交渉する
  • お子さんの学校行事や子育て、学校のテスト等の理由に対しては、すべてOKを出す
  • 昼間の主婦スタッフ同士での調整をお願いする
  • 本人の怠惰や不摂生による遅刻・欠勤については厳しく対処する(これは重要)

 シフトづくりのポイントは、作成に時間をかけるのではなく、調整(手直し)に時間をかけることです。調整にかかる手間を惜しまないことです。

 そのためにも、シフト表は調整のしやすいフォーマットにする必要があります。

 私は、PCで曜日別の基本パターンをつくり、それを毎週コピーして使っていました。シフト表そのものの作成には、ほとんど時間をかけないようにしていました。仕事の成果を考える上では、「手段」と「目的」をはき違えないよう、いつも意識していたからです。

 無駄のないシフトづくりは、利益を生むための第一歩です。

 その上で、さらに重要な考え方について、次回に書きたいと思います。

2014年12月10日水曜日

働く側からみたコンビニの優位性とは

 お店で働くスタッフ、あるいは、これからコンビニで働こうかと思っている人にとってコンビニで働く一番のメリットとは何でしょうか。

 家から近い職場を選べることも大きなメリットですが、やはり、勤務時間に融通がきくことが最大のメリットでしょう。主婦や学生さんの場合には、特に重視される条件だと思います。

 フルタイムや決まった曜日・時間帯で働くことを求められる職場が多い中で、コンビニは曜日や時間帯だけでなく、休日についても融通のきく職場と一般的に認識されています。

 主婦の場合は子どもの学校行事や子育て、学生さんの場合はテストやクラブ活動を優先せざるを得ない中で、休日を含め、勤務時間に融通のきくコンビニはとても魅力的に映るのです。

 お客様にとって便利なコンビニは、働く人にとっても便利な存在なのです。

 そうなると、働く人が感じるメリットに対し、お店側がどこまで対応できるかが重要な鍵になると言えます。

 つまり、スタッフが休みたい時に休めたり、勤務時間を変えたい時に変えられるシフト体制をどのように作るかがとても重要になってくるのです。

 限られた人数の中でスタッフの希望をいちいち聞いていたら、シフトに穴が開くだけでなく、無駄が生じて人件費が膨らんでしまうと言って、スタッフに制約をかけるお店もあるでしょう。

 しかし、お給料や福利厚生などの待遇面で、一般的な会社と比べて水準を高くできない現状がある中で、もしも働く側が感じるメリットに対して最大限の対応をお店がとれるなら、それは人の問題の解決に向けた第一歩となるでしょう。

 次回は、このあたりのことについて、具体的にどう考えたらよいかを書きたいと思います。

2014年12月9日火曜日

マネジメントが変わるとき

 私がマネジメントを変えるきっかけとなったのは、ほんのささいな出来事でした。

 それは、このブログの記事(人の問題に関してできること、その2)に出てくる、一人の女性スタッフのある行動でした。

 たしか、日曜日のことだったと思います。

 その女性スタッフと同じシフトに入っていた高校生のアルバイトさんが、お弁当を温めたものをお客様にお渡しし忘れる事件が起こりました。

 その高校生のアルバイトさんは、朝9時が退勤時刻なのですが、退勤までにお客様が商品を取りにみえることはありませんでした。

 お店では、こういうことが起きた場合、ミスをした本人が、スタッフ全員宛てのメモを残すルールにしていました。

 この日は、高校生にはメモを書く時間がなく、代わりにその女性スタッフが書くことになりました。

 とうとう、お客様がお弁当を取りにみえることはありませんでしたが、翌日、私がそのメモを見ると、そのメモには、ミスをした高校生アルバイトさんの名前がどこにもありません

 ミスをした現場を知らないスタッフは、そのメモを見れば、ミスをしたのはそのメモを書いた女性だと思うはずです

 温めたものを渡し忘れるような凡ミスは、恥ずかしくて、公言がはばかれるものです。経験の浅い高校生アルバイトさんがミスしました、と書いてもおかしくはありません。

 でも、あえて、彼女はそうしませんでした。

 この時、私は、お店ではかつて感じたことがないような深い感動を覚えたのです

 彼女の、他人に対する思いやりに、自分自身の思いやりのなさ、スタッフへの愛情の薄さを思い知ったのです。

 この経験を通して、リーダーに最も必要なものは、仕事の能力や技術などではなく、他人への思いやりであると、私は彼女から教わったのです。

2014年12月8日月曜日

マネジメントの悩ましさ

 私が店長として働く中で、悩みが最も大きかったのはマネジメントに関することです。

 通常、お店の主体者は2名いるのが普通で、そのほとんどは夫婦です。私の場合は、店長として一人でお店を運営することを任されました。

 私は、組織の上からいろいろ言われるのを好まない性格なので、私にとっても好条件でした。

 このブログの最初の記事(ごあいさつ)でも書きましたが、開店当初から、私はお店を守ることに大きな責任を感じていましたので、自然と、私のマネジメントのスタイルは、強いトップダウンのやり方になりました

 未経験の店長とは違って、私には本部の店舗経営相談員の経験があったものですから、スタッフのやることなすことに、いちいち口を出したり、注意したりすることを抑えることができませんでした

 でも、本来の私は、人との争いを好まない、おとなしい性格なのです(疑う人がいるかもしれませんが)。

 本来、店長は、スタッフをかわいがり、慕われ、お客様も大事にし、スタッフの皆さんとは家族のような関係を築くのが理想の姿でしょう。私にもそういう理想像がありました。

 でも、実際にはそれができない。

 私のトップダウンのマネジメントによる最大の弊害は、スタッフに恐怖心を植え付け、主体性を失わせ、スタッフのやる気や満足感、そして幸福感を失わせるものでした

 それでいながら、私は、お店の順調な売り上げの伸びや、利益の確保ができていることを鼻にかけて、自らのマネジメントを省みようとはしなかったのです。

 私が、自身のマネジメントを変えるきっかけとなったことについて、次回にお話しします。

2014年12月6日土曜日

小が大に勝つ方法

 小さなお店が大きなお店に勝つ方法として、最も有効な戦略の一つが「差別化」です。

 お店で何か一つでも、地域でダントツのものをつくれば、お客様はそれに引き寄せられてきます

 接客サービスクリンリネスで差別化を図ることはとても重要ですが、売り上げ・利益ということから考えれば、品揃えで差をつけることが最も効果的です。

 前回の記事で、私がデイリー商品のあるカテゴリーの品揃え強化に取り組んで、成果を上げた話を書きました。

 成果が上がった理由について、私は、以下のように分析しています。

  • 業界やチェーン内で、まだあまり注目されていない分野の商品だった
  • 単品当たりの販売数が低く、不良品になりやすいため、当時は積極的に品揃えしているお店がほとんどなかった
  • 商品自体は、お客様にとって利便性が高く、需要そのものが存在していた
  • 商品の味が良く、一度購入していただければ、お客様のリピート購入が期待できた

 このような商品は、今でもお店の中に存在しているはずです。

 こうした商品を見つけて、辛抱強く、品揃え強化に取り組めば、必ず成果に結びつくはずです。

 ただし、そこまでになるには、こだわりと忍耐が必要です。

 私の場合は、成果に表れるまでに、約2年の歳月を要したことを最後に付け加えさせていただきます。

2014年12月5日金曜日

戦略的な品揃えとは

 今日は、「戦略的な品揃え」について考えてみたいと思います。

 地域に競合するお店が増えてくると、品揃えで差をつけることは次第に難しくなってきます。とくに、同じチェーン同士の場合は、さらに難しくなります。

 各チェーンが力を入れている商品はたくさんありますが、例えば100円コーヒーのように、セブン-イレブンで人気に火がつくと、競合他社もそれに追随します。

 私は、100円コーヒーをほぼ毎日飲んでいますが、以前よりは、チェーン間での味の差はなくなってきているように感じます。いわゆる、「同質化」というものです。

 「同質化の反対にあるものが差別化」です。

 「競争優位の戦略」という有名な考えがあるのですが、その中でも、「差別化」という考えは重要な位置づけになっています。簡単に言いますと、他のお店と明確に品揃えの差をつけることによって、お客様がお店を選ぶ時に、自店に呼び込もうという考えです。

 私がいたお店で、オープンして2年ほど経ってから、デイリー商品のあるカテゴリー(商品群)の品揃え強化に取り組み始めました。

 当時は、一日の販売金額も少なく、チェーンとしても、まだあまり注目されていないカテゴリーでした。私は、以前からこのカテゴリーの将来性を感じていたので、少しずつ品揃えを強化していきました。

 最初は、思ったようには売れませんでしたが、辛抱強く、時間をかけて取り組みました。

 結果として、少しずつですが売り上げが伸び続け、2年が経つ頃には、地区でトップクラスの販売金額となりました。日販からみた販売構成比でも、トップクラスになっているはずです。

 どのように取り組んだかについては、お話しできる範囲で、次回に書きたいと思います。

2014年12月4日木曜日

ゲームとしての発注

 私は、発注を『答えのないゲーム』と考えています。

 何をふざけたことを、と思われるかもしれません。

 しかし、まったく同じ条件のもとで、同じ商品の発注を何人かのスタッフにやってもらった場合、発注機器に入力される数は、みなバラバラの数字になるでしょう。

 そして、どのスタッフの発注数量が良かったのかを判断するには、その結果を見るしかないのです。

 また、同じ発注数量になったとしても、売り場の状況(補充やフェイスアップの状態)によって、その結果に違いが出るでしょう。

 発注以外の業務の中で、これだけ結果に大きな差が出るのは、あとは接客くらいしか思い浮かびません。私が発注を唯一のクリエイティブな仕事と考えるのも、こうしたところからきているのです。

 つまり、発注には正解がないのです。

 一定の制約(例えば不良品予算)の中で、いかにしてより高い成果(売り上げ)を上げるかという発注の考え方は、一定の条件下でハイスコアを目指すゲームの考え方と基本的に変わらないのです。

 ゲームセンターで、自動車レースのゲームをしている人の運転を見て、評価を言う観客はいますが、代わりにハンドルを握る人はいないでしょう。

 発注をお任せした以上は、評価はしても、代わりに発注をすることは、担当者の意欲を下げるだけなのです。

 トップとしては、不良品予算などの条件と、売り上げ目標(スコア・行き先)だけを担当者(ドライバー)に告げて、あとは本人の発注(運転)に任せた方が安全だと思います

2014年12月3日水曜日

発注分担が進まない理由

 発注に興味が持てる人に担当してもらうのが一番、と前回の記事で書きました。

 そうは言っても、不良品(廃棄)が出る恐れのあるデイリー商品の発注に対しては、いくら興味がある人でも、その責任の大きさを前に尻込みするでしょう。

 私も、スタッフからの強い抵抗に遭い、デイリー商品の発注分担がなかなか進まない時期がありました。

 また、お店のトップは、スタッフに発注を任せてへたに不良品を出されるくらいなら、自分でやった方が良いと思ってしまうものです。それに、スタッフが自分よりも上手な発注ができるわけがないと自惚れているものです(私もそうでした)。

 しかし、実際にデイリー商品の発注を任せてみると、スタッフが想像以上の成果を出すことがあります

 私がいたお店でも、開店当初から在籍していた主婦の方にペストリーの発注をお任せしましたが、きめ細かな売り場管理もあって、私が想像する以上の売り上げをつくってくれたことがありました。

 とくに、売り場での陳列の工夫が良くなされていました。手書きのPOPについても、本部からの商品情報だけでなく、主婦の目線からひと工夫を入れた、ワンポイントアドバイスが含まれていることには感心しました。

 やはり、売り上げを伸ばすためには、売り場づくりが最も重要だということを、この時に私は実感したものです。

 私は自戒をこめて申しますが、発注分担が進まない理由はトップ自身にあって、それが結果的に、売り上げの上昇を妨げる原因になっているのです。

2014年12月2日火曜日

発注を教えることの難しさ

 そもそも、発注を人に教えることはできるのでしょうか。

 もちろん、ストアコンピュータやハンディ型発注機器の操作方法や、データの見方などは教えることができますし、ある程度まではマニュアルのようなもので対応できます。

 発注をする際に必要な、天候・気温の予報や近隣の行事・催事、キャンペーンなどの情報の取り方や活用の仕方も教えることができるでしょう。

 発注数量を決める際の、現在在庫数・納品数・販売予測数などの足し算・引き算の考え方も教えることができます。

 発注は、アイテム(単品)を選択して、数量を決める作業の連続ですので、数的・論理的な能力が高い人の方が有利で、上手な発注ができるイメージがあります。

 しかし、私の経験からすると、発注の上手な人は、計算能力にすぐれているというよりも、数字に対しての見方、感覚にすぐれているという感じがします。いわゆる、「発注センス」というものです。経済観念でいうところの「金銭感覚」に近いイメージです。

 この「センス」ほど、捉えどころのないものはありません。言葉で表現することが難しいからです。これが「発注を教える」のを難しくしている理由です。

 では、この「センスを磨くことはできるのでしょうか

 ここで重要なのが以前の記事で紹介した、『観るという視点です。

 例えば、販売データで考えるとすると、一つの同じ数字結果を見ても、人によってその捉え方は異なります。何も考えずに、ただ眺めるだけの人もいれば、その数字を見て、売れた!」「売れなかった~と感情を出して反応する人もいます。この差はとても大きいです。

 自分の仕事の成果として、興味(意識)を持ってデータを観ることを何度も繰り返すことによってしかセンスは磨かれないような気がします。

 その意味でも、発注に興味が持てるスタッフに担当してもらうのが一番良いでしょう。

2014年12月1日月曜日

発注に向く人、向かない人

 この感じの悪いタイトルで気を悪くされた方がいらっしゃいましたら、お詫びします。

 今回は、私がお店で発注分担を進める中で感じた、発注に向く人向かない人のタイプについて書いてみたいと思います。

 このタイプ分けは、私の経験を元にしたもので、かなりの思い込みや偏見が混じっている可能性が高いことをあらかじめご了承ください。ぜひ参考程度にお読みください。

発注に向いている人のタイプ

  • 発想が柔軟
  • 生活感覚、経済感覚にすぐれている
  • お金に対してシビア
  • 決まった答えのない仕事に対して意欲が湧く
  • しがらみ、束縛を嫌う
  • 主体的な考え方をする、リーダータイプ
  • 責任を与えられるとファイトが湧く

発注にあまり向かない人のタイプ

  • 頭が固い、頑固
  • 経済観念がやや弱い
  • 衝動買いや無駄遣いが多い
  • 決まった仕事を決まった手順で行うのが好き
  • 受身的な態度・考え方をもつ、フォロワータイプ
  • 責任の重い仕事を前にすると尻込みする
 
 このように列記すると、いかにも発注に向かない人はダメだと言っているように思われるかもしれませんが、そうではありません。

 人は、十人十色で、誰にも向き・不向きがあります。仕事を分担する際には、できるだけご本人の資質に合った業務をお任せしたほうが、仕事が楽しく、やりがいも感じてもらえる可能性が高くなるだけでなく、成果としても、より良い結果に結びつく可能性が高くなるのでは、と言いたいだけなのです。

 例えば、「決まった仕事を決まった手順で行うのが好き」なタイプの人には、物事を正確に、ミスなくきちんと行う人が多いでしょう。「発想が柔軟」な人の中には、得てして仕事で凡ミスをおかすような人が多いものです。

 私は、お店のスタッフが持っている資質を把握するために、性格診断テストを実施したことがありますが、これについてはまた別の機会に書きたいと思います。

2014年11月28日金曜日

発注分担の難しさ

 前回の記事で、発注は他の業務とは性格が異なるものだから、発注業務をスタッフに担当してもらう際には、そのことをよく考えて行ったほうが良いと書きました。

 私が在籍していたチェーンでは、発注は最も重要な仕事であるから、スタッフにきちんと分担して、発注に時間をかけられる体制をつくりましょう、とくにメインで働くスタッフには重要な商品の発注をお任せしましょう、とお店にお奨めしていました(現在もそうです)。私も、過去に本部社員だった時は、同じようにお店にお話ししていました。

 理屈の上ではまったくその通りで、お客様に接する機会が多いスタッフに重要な商品の発注をお任せしたほうが良い結果を生むと思いますし、重要な仕事を任されたスタッフのモチベーションが上がることも期待します

 実際にお店の店長として仕事をした中で、最も難易度が高く、売り上げ・利益への影響度が大きい米飯の発注をフルタイムで働くスタッフに担当してもらったこともありました。しかし、なかなかうまくいきませんでした。確か、半年ほど経って、私に担当を戻した記憶があります。

 彼は、どちらかというと、考えることが苦手で、数字にもあまり強くないタイプの人でした。実際に、米飯を担当した後の彼は、真剣そのもので、たえず大きな重圧を背負っているような雰囲気を醸し出していました。

 私は、米飯を担当するのは大変なことだけど、その分、きっと彼は成長してくれるだろうと期待をして、一切、発注には口を出さないようにしていました。しかし、却ってそれが、彼の心の負担を大きくしたかもしれません。最終的には、数字の結果を伴わなかったため、担当から降りていただくことになりました。

 やはり、人は、自分が苦手なものに取り組むことには苦痛を伴い、自信を失くさせるものでしかないのかもしれません。自分が得意なこと、面白さや楽しさを感じることをする中に、やる気や自信が生まれるのかもしれないと私は思うようになりました。

 このような経験を通して、発注分担は、何人のスタッフに担当してもらうかではなく、に担当してもらうかが重要であることに私はやっと気づいたのです。

 次回は、『発注に向く人、向かない人』というあまり感じの良くないテーマについて書きたいと思います。

2014年11月27日木曜日

発注業務の特殊性

 今回からは、お店の利益を考える上で最も重要な「発注」と「品揃え」について書いていきたいと思います。

 はじめに、考え方を整理したいと思いますが、言うまでもなく「発注」は、お店の品揃えを左右するとても重要な仕事です。「品揃え」は、雑誌などの自動納品の商品を除き、お店が実施する発注業務の結果をそのまま反映しているものとなります。

 お店の売り上げや利益に直接結びつくのは品揃えであり、より良い品揃えをすることがお店における第一の目的となります。発注は、より良い品揃えをするための手段・方法です。

 なぜ、このような当たり前のことをわざわざここでとりあげるのでしょうか。

 一日の仕事の中で、一人のスタッフが行う業務内容は多岐にわたります。レジ接客、検品・品出し、鮮度管理、ファーストフード管理、清掃などの業務、それに発注が加わります。

 発注が重要な仕事であることが頭ではわかっていても、時間に追われて仕事をする中で、どうしても発注が作業と捉えられてしまう傾向があります。つまり、より良い成果を求めて試行錯誤するようなことがあまりないままに、発注業務そのものを時間内に終わらせることをつい優先してしまうのです。

 要するに、より良い品揃えをするための手段であるはずの発注が、知らず知らずのうちに仕事の目的にすり替わってしまうのです。一言でいうと、発注が作業化してしまうということです。

 私は、数多くある業務の中で、発注こそが唯一、クリエイティブな仕事であると考えています(接客もクリエイティブな仕事と捉える考え方もあります)。

 本来、発注というものは自分の発想力や知恵、経験を生かし、勘やひらめきを働かせながら行う、クリエイティブな仕事であるはずです。わくわく、ドキドキしながら結果を確かめるようなところに発注の醍醐味があるのだと私は考えます。

 やはり、発注と、それ以外の業務とは仕事の性格が違うことを前提にして物事を考えたほうが良さそうです。

 チェーンによると思いますが、発注分担を進めていく中で、発注業務を他の業務と同様に考えてスタッフに担当させようとしてしまう場合があります。

 発注が好きなスタッフの場合は問題がないのですが、考えること自体が苦痛数字が苦手といったスタッフの場合には、結果として、なかなかうまくいかないことが多いように見受けられます。

 このあたりのことをどのように考えたらよいかについて、次回に書きたいと思います。

2014年11月26日水曜日

『見る』ことと『観る』ことの違い

 今日は少し話題を変えて、『見る』ことと『観る』ことの違いについて考えてみたいと思います。

 皆さんに一つの問題を出します。紙とペンを用意してください。

 そして、周りを何も見ないで、ご自身のチェーンの看板(駐車場やお店の入り口にあるチェーンのマーク)を書いてみてください。

 いかがですか? うまく書けましたでしょうか。実際の看板と照らし合わせてみてください。

 おそらく、ほとんどの方が正確に書けない、あるいは、そもそも思い出せないのではないでしょうか。仕事の日には、ほとんど毎日、目にしているはずなのに、いざ書こうとすると正確に書けないのはなぜでしょうか

 それは、看板を『見てはいるけれども、どういうデザインなのかを意識して『観ていないから正確に書けないのです。

 つまり、『見る観るの違いは、自分が意識をしているか、していないかの違いによるのです。ですので、私の問題の出し方が仮に、『これからチェーンのマークを書いていただきます。今から1分の時間をあげますので、1分経ったら周りを何も見ないで書いてください』というものでしたら、おそらくほとんどの方はきちんと書けるでしょう。意識してデザインを『観る』ことができるからです。

 この『見ることと観ることの違いは、仕事の成果を考える上で、非常に大きな差となって表れます。とくに、お店の品揃えに大きな影響を与える「発注という仕事においては、この観るという視点がとても重要なものになります。

 次回からは、お店の利益を考える上で最も重要な「発注」と「品揃え」について書きたいと思います。

 冒頭で出した問題については、以下の書籍を参考にしました。

 『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(小宮一慶・著、ディスカヴァー携書)

2014年11月25日火曜日

人の問題に関してできること(その4)

 いい人を採用する上で、決定的に重要なものは何かについて考えてみたいと思います。

 面接時のお決まりの質問に、「数多くある職場の中で、なぜ当店で働きたいと思いましたか?」というものがあります。私も必ずする質問です。

 私がいたお店で、今年に入って採用したスタッフの中で、2名の女性がこの質問に対して同じ返答をしました。それは、「お店で働いている人の感じが良かったので(一緒に働きたい)」というものでした。

 私自身、とくにお店の接客が良くなったと感じていたわけではありませんでしたので、私にとっては意外な返答でした。

 ちなみに、その2名の女性が名指ししたスタッフは別々のスタッフで、二人とも女性です。採用した後も、その2名の女性の働きぶりはとても良く、今も元気に働いています。名指しされた二人の女性も仕事熱心で、ともに時間帯の中心となって働いています。

 採用する側から見れば、応募者は時給や勤務時間、家から近いことなどの条件を重視しているものと思いがちです。

 ですが、働く側からすると、どのような人と一緒に働くのか、どのような雰囲気の中で働くのかを重視するのは当然のことでしょう。職場内の人間関係や雰囲気も、応募者にとっては重要な条件の一つとなるのです。これは女性により強く見られる傾向のような気がします。

 そうすると、ますますトップのマネジメントの持つ重要性と影響度がクローズアップされることになります。

 いい人が働く職場は、いい雰囲気を生み、いい雰囲気は、いい人を惹きつけるということでしょうか。このような好循環に入ることができれば、人の問題も解消に向かうかもしれません。

 以上、これまで4回にわたって人の問題について考えてきましたが、このテーマはとても奥深く、対人的な考え方のほかに、労働法などの知識もトップには求められます。このテーマを含め、全体的なことについてよくまとめられているものとして、以下の書籍が参考になるかもしれません。

 『パート・アルバイトの活かし方・育て方』(平田未緒・著、PHPビジネス新書)

2014年11月24日月曜日

人の問題に関してできること(その3)

 今日は、これから採用するスタッフに対してできることについて書きます。

採用するスタッフへの対応


 苦労をして面接までこぎつけて、喜んで採用したら、短期間で辞められてしまったという経験はないでしょうか。私にも何度かあります。
 短期間で辞めてしまう人にも、それなりの理由があるはずです。

  • 自分が思っていたのと仕事内容が違った
  • やってみたら、この仕事が自分に合わないとわかった
  • 面接で聞いたことと話が違っている
  • お店の雰囲気になじめなかった
  • 店長が怖い(私の場合はこれが多い)

 ご本人に問題のある場合がないとはいえませんが、採用した側からすれば、かなりショックな出来事です。とくに、初期のトレーニングがある程度終わって、いよいよこれからという時のショックには計り知れないものがあります。

 このような状態のことを雇用のアンマッチングと呼ぶようですが、こうしたことを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。

 今回は面接方法について考えてみたいと思います。皆さんは面接をどのような流れで行っていらっしゃるでしょうか。

 私の場合は、最初に挨拶をして履歴書をお預かりした後に、本部作成のDVD(約10分)を応募者に観ていただきます。その10分間に履歴書を見ながら質問事項を検討します。そしてDVD終了後に面接開始という流れです。面接時間はおよそ30分いただいていました。

 面接のポイントは、できるかぎり応募者に話をしてもらうことです。はい、いいえで答えられるような質問ではなく、その人の価値観をのぞかせるような返答をしてもらう質問がベストです。

 私がよくする質問は、「今までのお仕事(または人生)で一番うれしかったことや楽しかったことはどんなことですか?」あるいは、「あなたが一番わくわくする瞬間はどんなときですか?」です。

 こうした質問に対する返答には、その人の価値観やものの考え方が表れやすくなります。トップの経営理念や既存スタッフとの相性を見る上でも判断しやすいものとなります。

 こうしたテクニックのようなものはある程度は効果的ですが、いい人に来てもらえるために決定的に重要なものは何かについて、次回(最終回)に書きたいと思います。

2014年11月23日日曜日

人の問題に関してできること(その2)

 既存スタッフへの対応についての続きです。

 私がいたお店には、高校生のときからアルバイトをしていて、卒業後に就職のことで悩んでいた女性スタッフがいました。彼女はお店でアルバイトをしながらも、就職活動に対してなかなかアクションを起こせずにいました。

 この状況のままで、ずるずると仕事を続けても本人のためにならないと思い、何度か個人面談を実施して本人の意思を確認しました。最初はなかなか見えてこなかった意思が、次第にはっきりしてきました。

 そこで私は、彼女を時給から固定給にすることの了解をオーナーから得た後に、一般の会社で行われる新入社員教育に相当するトレーニングを始めました。

 トレーニングは過密スケジュールの中、マンツーマンで1日1時間、週3日程度を数か月にわたって実施しました。

 この中で、今まで私が気づかなかった彼女の能力や資質を発見することがありました。その後、私が想像する以上のめざましい成長を彼女が見せてくれたことは、大きな驚きでした。

 同時に、私自身の過去のマネジメントにいかに問題が多かったかを思い知らされました。

 自分はスタッフのことをよくわかっているつもりで何もわかっていない、自分が見たいようにスタッフを見ているだけなんだということに気づきました。

 話しは戻りますが、時給から固定給に変わったのは、彼女が最初のスタッフです。

 お店の状況によっては、すぐに実行することは難しいかもしれませんが、既存スタッフへの対応の一つとして、意欲のあるスタッフの待遇を変えることも検討すべきテーマだと思います。

 参考として、私がトレーニングに使用したテキストを紹介します。

 『新人研修ワークブック』(山崎紅・著、日経BP社)

 次回は、これから採用するスタッフへの対応について書きます。

2014年11月22日土曜日

人の問題に関してできること(その1)

 人の問題に対して、どのようなことができるかを考えてみたいと思います。

 一つは、現在のスタッフに対してできること、もう一つは、これから採用する人に対してできることに分けて書きます。

現在のスタッフへの対応


 今、在籍しているスタッフは、お店や仕事にどれくらいの満足感を持っているでしょうか。楽しさややりがいを感じてくれているでしょうか。意欲を持って仕事に取り組んでいるでしょうか。何か困っていることや悩みはないでしょうか。

 毎日のように顔を合わせていると、スタッフが少しずつ変化していることに気づかないことがあります。ある日、スタッフから急に退職の申し出があったりして、慌てるようなことはなかったでしょうか。ときどき立ち止まって、考えてみる必要があるかもしれません。

 まずは、今お店にいらっしゃるスタッフ一人ひとりの、お店や仕事への満足度を上げる努力が必要です。普段から良好なコミュニケーションがとれているオーナーさん、店長さんでしたらあまり心配はありませんが、仕事に関係のあることしか話さない私のようなタイプは要注意です。

 お恥ずかしい話ですが、私自身、スタッフの悩みや不満に気づかず、代わりに話を聞いたオーナーに言われて初めてわかったということが何度かありました。これは、店長としての私のマネジメントに起因する問題です。

 と同時に、トップのマネジメントのやり方がスタッフの満足感や働きがい、意欲にも大きく影響を及ぼすと言うことができるでしょう。まさに、『小さな組織はトップで決まる』のです。

 私は意識して、できるかぎり仕事の合い間に、二人で面と向かって話をする時間を設けるようにしました。今振り返れば、それでも十分でなかったと思っています。定期的に個人面談を実施してヒアリングをするのもよいかもしれません。

 そのほか、既存スタッフの待遇面に関して私が行ったことについて、次回に書きます。

2014年11月21日金曜日

採用に関する悩み

 お店のトップが抱える一番の悩みは何でしょうか。

 私の経験ではやはり、人に関することでの苦労が最も多かったような気がします。今振り返ると、お店は慢性的に人手不足の状態で、とくに繁忙期やキャンペーン期間中はスタッフの皆さんに忙しい思いをさせてしまったことが多々あります。

 募集方法は、おもに店頭ポスターの掲示とハローワークの紹介、そして必要に迫られた時に求人誌や新聞への広告掲載に頼るといった状況でした。

 開店からしばらくの間は、店頭ポスターのみでほとんど間に合っていました。しかし、この数年はほとんど応募がない状況で、たまにハローワークからの紹介で採用できることがありました。

 このような状況は当店だけの現象ではなく、コンビニ業界全体に広がっている問題だと思います。飲食店やファーストフードなどの他業態を見ても、採用に困っていないところはほとんどないように思われます。

 大変残念なことですが、コンビニ業界は他業種と比較して給与水準が低く、勤務先としてのイメージも決して良いとは言えないと思います。生涯働く場としてではなく、どちらかというと、短期間に都合よく働く場というイメージを持たれがちです。コンビニ業界に身をおく者として不本意で、とても残念に思います。

給与水準が低い⇒いい人が集まらない⇒売り上げやイメージが上がらない⇒儲からない⇒給与を上げられない

 この負のスパイラルから抜け出せないかぎり、コンビニ業界は繁栄していかれないのではないかと危惧します。たとえ、本部の収益が上がっていても、お店が元気でなければいけません。

 これを改善していくのは簡単なことではありません。フランチャイズシステムや、少子化問題、あるいは政治に理由を求めてもすぐには解決しないでしょう。今できることを考えて、一つずつ取り組むしかありません。

 それでは、何に取り組めばよいのかについて、次回に考えたいと思います。

2014年11月20日木曜日

トップが持つべきビジョン、経営理念(その2)

 お店のトップが持つべきビジョンや経営理念を難しく考える必要はありません。

 肝心なことは、どういうお店にしたいのかを自分なりに考え、言葉にして表現することです。
 その際、
1.お店のスタッフにとってどういうお店にしたいのか
2.地域のお客様にとってどういうお店でありたいのか
3.トップである自分自身はどういう経営者になりたいのか

3つの視点から考えるとよいでしょう。

 24時間、365日営業のコンビニ経営が想像以上に過酷であることは、ほとんどのオーナーさん、店長さんが感じることでしょう。目前の仕事に追われて、毎日があっという間に過ぎ去っていきます。小難しい経営理念など考えなくても、仕事に支障はないでしょう。

 しかし、ビジョンや経営理念を掲げながら、機会あるごとに振り返ってみることができれば、一緒に働いてくれているスタッフはどれだけ成長しているだろうか、お客様はお店に満足してくださっているだろうか、あるいは自分自身はどれだけ成長できただろうか、などということについて感じ取ることができるかもしれません。

 そして、それはそのまま自身のやりがいにつながるかもしれません。いつの日かお店を去る時に、振り返ってみたら何も残らなかったというのでは、とても寂しい気がします。

 偉そうなことを書きましたが、私自身も開店以来、不安な毎日を過ごしました。今のやり方で良いのだろうか、ほかにもっと良い方法があるのではないかといった不安から、有名な経営者などの本も読み漁りました。松下幸之助、稲盛和夫、本田宗一郎、渋沢栄一、P.F.ドラッカー等々。

 しかし、そこに答えがあるわけではありませんでした。最終的には、自分の頭で考え、行動することでしか道は開けていかないことに気づきました。

 そのような中で、とても感銘を受けた一冊の本があります。長野県の伊那食品工業株式会社社長(当時。現在は会長兼CEO)の塚越寛さんの著書『いい会社をつくりましょう。』(発行:文屋)です。平易な文体の中に経営の真髄のようなものを感じさせる内容です。経営理念を考える際の参考になるかもしれません。

 コンビニ経営は、本部の政策や方針にとかく流されがちです。経営者としての視点を高くとりながら、自店の経営理念について考えてみることをおすすめします。

2014年11月19日水曜日

トップが持つべきビジョン、経営理念(その1)

 前回の記事の終わりに、ビジョンや経営理念について少し触れましたので、今日はこれについて考えてみたいと思います。

 コンビニエンスストアの多くは、フランチャイズ契約を個人でしており、法人の場合でも、大きな組織であるケースは少ないと思います。一般的に、それなりの規模の会社になると、企業理念や社是なるものがあって、それが社員にもある程度は浸透しているでしょう。

 それでは、おもに個人や小規模法人が経営しているコンビニには、そのようなものは必要ないのでしょうか。

 ちなみに、本部の主要各社のホームページをみると、企業理念については以下のように掲載されています。

 『既存中小小売店の近代化と活性化』『共存共栄』(セブン-イレブン)

 『私たちは”みんなと暮らすマチ”を幸せにします』(ローソン)

 『あなたと、コンビに、ファミリーマート』(ファミリーマート)

 『わたしたちは、社会に信頼され、成長し続ける企業をめざします』(サークルKサンクス)

 本部の企業理念をそのまま自店の経営理念としているオーナーさんや店長さんはほとんどいらっしゃらないと思いますが、私個人の意見としては、お店のトップがご自身のビジョンや経営理念を明確にして、それをスタッフ全員にしっかり伝えるべきだと考えています。

 ただ、それが単なるスローガンのようなものではなく、トップ自身の価値観から出たもので、肚の底から出るような言葉を伴ったものでなければ、人の心を動かすことは難しいと思います。

 世間でよく言われることの中に、『小さな組織はトップで決まる』というものがあります。コンビニのような小さな組織では、意識をするとしないとにかかわらず、トップが持つ組織への影響力は極めて大きいと言えるでしょう。

 ちなみに、私の場合は紙に印刷した「経営理念」をバックルームに掲示して、スタッフの入社時やトレーニングの際に必ずお話しするようにしていました。もちろん、自分なりに考えて練りこんだ経営理念です。

 その経営理念がどのように作られたかについては、次回に書きたいと思います。

2014年11月18日火曜日

自店の戦略を考えることの重要性(その2)

 では、そのハード面での特徴を踏まえて、お店はどのように対応すればよいのでしょうか。

 私の場合は、お客様のご利用の傾向に合わせて、お客様をお待たせしないことを最重点に考え、スタッフに徹底させました。つねにお客様の動きに目を配り、できるかぎりお待たせしない接客をスタッフにお願いしました。

 これにはスタッフの観察力と、スタッフ同士の連携プレイが要求されます。お客様をお待たせしないようにすると、スタッフにはとても負荷がかかるものです。そのため、スタッフ全員によく説明し、理解をしていただきました。

 お客様をお待たせしない接客は、必然的に短時間で接客を終わらせることを志向するようになります。レジでのスピーディな動きだけでなく、いかに無駄なくスマートに仕事を進めるかという思考も求められます。

 このような接客スタイルは、のんびり買い物がしたい、お店のスタッフとゆっくりお話ししたいというお客様を遠ざけるだけでなく、お客様との会話を楽しみたい、最高の接客サービスを提供したいというスタッフにも受け入れにくいものとなります。これは大きなデメリットです。

 しかし、すべてのお客様に対応することは困難です。お店側がどういう接客サービスをしたいかということよりも、大多数のお客様がどういう接客スタイルをお店に求めているかということを優先してお店は対応せざるをえません。

 ここにお店の経営戦略を考える余地があるのです。そして、これがソフト面での差別化ということにつながります。

 ハード面で差別化を図るには店舗改装や立地移転等が必要となるため、まずお店で考えるべきはソフト面での対応ということになります。

 やはり、自店のハード面での特徴に合った独自の接客サービスや品揃えを考え、対応することが重要だと言えるでしょう。

 そのソフト面での対応がオーナーさんや店長さんの持つビジョンや経営理念と融合した時、お店の持つ力が最大限に発揮されるのではないでしょうか。

 ソフト面での差別化を考える上で、自店の品揃えをどのようにするかは最重要課題です。それがお店の売り上げと利益に直結するからです。

 これについては、また改めて書きたいと思います。

2014年11月17日月曜日

自店の戦略を考えることの重要性(その1)

 コンビニエンスストアを経営しているオーナーさんのほとんどは、フランチャイジーとしてチェーンに加盟していますが、コンビニ全体の店舗数が増加するにつれて、同じ地域に同じチェーンの看板を掲げて商売をするケースが多くなってきます。

 そうなると、同じチェーン同士で競合することになるため、他店との差別化が難しくなります。これについてはどのように考えればよいのでしょうか。

 競争優位の戦略ということから考えると、やはり差別化がもっとも重要な考え方となります。そこで、ハード面とソフト面での差別化について考えてみたいと思います。

 私が勤務していたお店は、地方都市の中心部から離れた、まだ周辺に田畑が残るような地域の生活道路沿いにあります。都心部とは異なり、競合店が密集するような環境ではなく、冒頭で述べたような厳しい競合状態にあるとは言えません。

 しかし、店長としてお店の経営戦略を考える上で、つねに意識していたことがあります。

 お店の駐車場はかなり広いほうで、道路からの見通しもよく、店舗前の道路もあまり渋滞することがありません。お客様から見ても、駐車場に入りやすく出やすい、いわゆる接近性の良いお店ということになります。

 これを反映してか、お客様の買い物の仕方はどちらかというと、せっかちなものになる傾向があります。できるだけ短時間に買い物や公共料金などの支払いを済ませたがるお客様の行動パターンが目立ちます。

 お客様がどのような目的でお店を選んで利用するかは、もちろん、商圏内の他業態を含めた競合店の状況によって変化しますが、店舗や駐車場の大きさなどのハード面もお客様のご利用の仕方に大きな影響を与えると考えられます。

 せっかちなお客様が多い、公共料金の受付やATMのご利用がお店の客数のわりに多いという理由を、私はお店のハード面での特徴と関連付けて考えました

 つまりそれは、お店の商圏にせっかちな住民が多いからではなく、近隣に金融機関がないからでもなく、お店のハード面での特徴に利便性を感じるお客様を反映している結果だと考えたのです。

 (その2)に続きます....

2014年11月16日日曜日

ごあいさつ

 はじめまして。Goodzukaと申します。
 ブログにお越しくださり、ありがとうございます。

 このブログでは、コンビニ業界での勤務経験の中から私が学んだことや、これからのコンビニ業界の展望などについて感じるままに綴っていきます。

 本部社員としてお店を見る立場と、店舗スタッフとしてお店で働く立場とでは、ものの見え方や考え方はまったく違ったものになります。

 両方の立場で働いた経験を持つ者として、どちらにもやりがいや苦労がありましたが、私自身はお店で店長として働き、苦労した中に、働きがいや学び、そして人としての成長があったような気がします。

 本部社員だった時と大きく異なるのは「緊張感」の大きさです。会社員とは違い、お店で働く者には、自分たちを守ってくれるものは多くありません。お店の経営が立ち行かなくなれば、オーナーさんをはじめ、すべてのスタッフがただちに働く場を失ってしまいます。

 私は加盟店のオープンから店長を任され、一人でお店を切り盛りしなくてはなりませんでしたので、お店を守ることに大きな責任と緊張、それにときおり孤独も感じる中で仕事に取り組みました。

 店長として一番に心がけたことは、予算の達成です。とくに純利益の予算達成には、開店以来ずっとこだわり続けてきました。お店の利益に責任を持つことが店長の最大責務だと考えていたからです。

 言うまでもなく、お店の経営を成り立たせるのに最も重要なものは「利益」です。ただ、利益は経営の最終目的ではなく、お店を永続させるための「手段」であると言えます。

 お客様の利便性や満足度を向上させることと、お店の利益を確保することのバランスをいかにとるか。そこに店舗経営の難しさと要諦があると言えるでしょう。

 生活者にとって存在感が大きいわりに、コンビニ業界の社会的な地位は決して高いものとは言えないのが現状です。

 お店が安定的に利益を確保でき、お店で働く皆さんが物心両面にわたって豊かになることが、これからのコンビニ業界の発展と社会的地位向上のために求められるのではないでしょうか。

 このブログでの私の駄文が少しでもお店経営の参考になることがあれば、私にとって、これほどうれしいことはありません。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。