2014年11月28日金曜日

発注分担の難しさ

 前回の記事で、発注は他の業務とは性格が異なるものだから、発注業務をスタッフに担当してもらう際には、そのことをよく考えて行ったほうが良いと書きました。

 私が在籍していたチェーンでは、発注は最も重要な仕事であるから、スタッフにきちんと分担して、発注に時間をかけられる体制をつくりましょう、とくにメインで働くスタッフには重要な商品の発注をお任せしましょう、とお店にお奨めしていました(現在もそうです)。私も、過去に本部社員だった時は、同じようにお店にお話ししていました。

 理屈の上ではまったくその通りで、お客様に接する機会が多いスタッフに重要な商品の発注をお任せしたほうが良い結果を生むと思いますし、重要な仕事を任されたスタッフのモチベーションが上がることも期待します

 実際にお店の店長として仕事をした中で、最も難易度が高く、売り上げ・利益への影響度が大きい米飯の発注をフルタイムで働くスタッフに担当してもらったこともありました。しかし、なかなかうまくいきませんでした。確か、半年ほど経って、私に担当を戻した記憶があります。

 彼は、どちらかというと、考えることが苦手で、数字にもあまり強くないタイプの人でした。実際に、米飯を担当した後の彼は、真剣そのもので、たえず大きな重圧を背負っているような雰囲気を醸し出していました。

 私は、米飯を担当するのは大変なことだけど、その分、きっと彼は成長してくれるだろうと期待をして、一切、発注には口を出さないようにしていました。しかし、却ってそれが、彼の心の負担を大きくしたかもしれません。最終的には、数字の結果を伴わなかったため、担当から降りていただくことになりました。

 やはり、人は、自分が苦手なものに取り組むことには苦痛を伴い、自信を失くさせるものでしかないのかもしれません。自分が得意なこと、面白さや楽しさを感じることをする中に、やる気や自信が生まれるのかもしれないと私は思うようになりました。

 このような経験を通して、発注分担は、何人のスタッフに担当してもらうかではなく、に担当してもらうかが重要であることに私はやっと気づいたのです。

 次回は、『発注に向く人、向かない人』というあまり感じの良くないテーマについて書きたいと思います。

2014年11月27日木曜日

発注業務の特殊性

 今回からは、お店の利益を考える上で最も重要な「発注」と「品揃え」について書いていきたいと思います。

 はじめに、考え方を整理したいと思いますが、言うまでもなく「発注」は、お店の品揃えを左右するとても重要な仕事です。「品揃え」は、雑誌などの自動納品の商品を除き、お店が実施する発注業務の結果をそのまま反映しているものとなります。

 お店の売り上げや利益に直接結びつくのは品揃えであり、より良い品揃えをすることがお店における第一の目的となります。発注は、より良い品揃えをするための手段・方法です。

 なぜ、このような当たり前のことをわざわざここでとりあげるのでしょうか。

 一日の仕事の中で、一人のスタッフが行う業務内容は多岐にわたります。レジ接客、検品・品出し、鮮度管理、ファーストフード管理、清掃などの業務、それに発注が加わります。

 発注が重要な仕事であることが頭ではわかっていても、時間に追われて仕事をする中で、どうしても発注が作業と捉えられてしまう傾向があります。つまり、より良い成果を求めて試行錯誤するようなことがあまりないままに、発注業務そのものを時間内に終わらせることをつい優先してしまうのです。

 要するに、より良い品揃えをするための手段であるはずの発注が、知らず知らずのうちに仕事の目的にすり替わってしまうのです。一言でいうと、発注が作業化してしまうということです。

 私は、数多くある業務の中で、発注こそが唯一、クリエイティブな仕事であると考えています(接客もクリエイティブな仕事と捉える考え方もあります)。

 本来、発注というものは自分の発想力や知恵、経験を生かし、勘やひらめきを働かせながら行う、クリエイティブな仕事であるはずです。わくわく、ドキドキしながら結果を確かめるようなところに発注の醍醐味があるのだと私は考えます。

 やはり、発注と、それ以外の業務とは仕事の性格が違うことを前提にして物事を考えたほうが良さそうです。

 チェーンによると思いますが、発注分担を進めていく中で、発注業務を他の業務と同様に考えてスタッフに担当させようとしてしまう場合があります。

 発注が好きなスタッフの場合は問題がないのですが、考えること自体が苦痛数字が苦手といったスタッフの場合には、結果として、なかなかうまくいかないことが多いように見受けられます。

 このあたりのことをどのように考えたらよいかについて、次回に書きたいと思います。

2014年11月26日水曜日

『見る』ことと『観る』ことの違い

 今日は少し話題を変えて、『見る』ことと『観る』ことの違いについて考えてみたいと思います。

 皆さんに一つの問題を出します。紙とペンを用意してください。

 そして、周りを何も見ないで、ご自身のチェーンの看板(駐車場やお店の入り口にあるチェーンのマーク)を書いてみてください。

 いかがですか? うまく書けましたでしょうか。実際の看板と照らし合わせてみてください。

 おそらく、ほとんどの方が正確に書けない、あるいは、そもそも思い出せないのではないでしょうか。仕事の日には、ほとんど毎日、目にしているはずなのに、いざ書こうとすると正確に書けないのはなぜでしょうか

 それは、看板を『見てはいるけれども、どういうデザインなのかを意識して『観ていないから正確に書けないのです。

 つまり、『見る観るの違いは、自分が意識をしているか、していないかの違いによるのです。ですので、私の問題の出し方が仮に、『これからチェーンのマークを書いていただきます。今から1分の時間をあげますので、1分経ったら周りを何も見ないで書いてください』というものでしたら、おそらくほとんどの方はきちんと書けるでしょう。意識してデザインを『観る』ことができるからです。

 この『見ることと観ることの違いは、仕事の成果を考える上で、非常に大きな差となって表れます。とくに、お店の品揃えに大きな影響を与える「発注という仕事においては、この観るという視点がとても重要なものになります。

 次回からは、お店の利益を考える上で最も重要な「発注」と「品揃え」について書きたいと思います。

 冒頭で出した問題については、以下の書籍を参考にしました。

 『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(小宮一慶・著、ディスカヴァー携書)

2014年11月25日火曜日

人の問題に関してできること(その4)

 いい人を採用する上で、決定的に重要なものは何かについて考えてみたいと思います。

 面接時のお決まりの質問に、「数多くある職場の中で、なぜ当店で働きたいと思いましたか?」というものがあります。私も必ずする質問です。

 私がいたお店で、今年に入って採用したスタッフの中で、2名の女性がこの質問に対して同じ返答をしました。それは、「お店で働いている人の感じが良かったので(一緒に働きたい)」というものでした。

 私自身、とくにお店の接客が良くなったと感じていたわけではありませんでしたので、私にとっては意外な返答でした。

 ちなみに、その2名の女性が名指ししたスタッフは別々のスタッフで、二人とも女性です。採用した後も、その2名の女性の働きぶりはとても良く、今も元気に働いています。名指しされた二人の女性も仕事熱心で、ともに時間帯の中心となって働いています。

 採用する側から見れば、応募者は時給や勤務時間、家から近いことなどの条件を重視しているものと思いがちです。

 ですが、働く側からすると、どのような人と一緒に働くのか、どのような雰囲気の中で働くのかを重視するのは当然のことでしょう。職場内の人間関係や雰囲気も、応募者にとっては重要な条件の一つとなるのです。これは女性により強く見られる傾向のような気がします。

 そうすると、ますますトップのマネジメントの持つ重要性と影響度がクローズアップされることになります。

 いい人が働く職場は、いい雰囲気を生み、いい雰囲気は、いい人を惹きつけるということでしょうか。このような好循環に入ることができれば、人の問題も解消に向かうかもしれません。

 以上、これまで4回にわたって人の問題について考えてきましたが、このテーマはとても奥深く、対人的な考え方のほかに、労働法などの知識もトップには求められます。このテーマを含め、全体的なことについてよくまとめられているものとして、以下の書籍が参考になるかもしれません。

 『パート・アルバイトの活かし方・育て方』(平田未緒・著、PHPビジネス新書)

2014年11月24日月曜日

人の問題に関してできること(その3)

 今日は、これから採用するスタッフに対してできることについて書きます。

採用するスタッフへの対応


 苦労をして面接までこぎつけて、喜んで採用したら、短期間で辞められてしまったという経験はないでしょうか。私にも何度かあります。
 短期間で辞めてしまう人にも、それなりの理由があるはずです。

  • 自分が思っていたのと仕事内容が違った
  • やってみたら、この仕事が自分に合わないとわかった
  • 面接で聞いたことと話が違っている
  • お店の雰囲気になじめなかった
  • 店長が怖い(私の場合はこれが多い)

 ご本人に問題のある場合がないとはいえませんが、採用した側からすれば、かなりショックな出来事です。とくに、初期のトレーニングがある程度終わって、いよいよこれからという時のショックには計り知れないものがあります。

 このような状態のことを雇用のアンマッチングと呼ぶようですが、こうしたことを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。

 今回は面接方法について考えてみたいと思います。皆さんは面接をどのような流れで行っていらっしゃるでしょうか。

 私の場合は、最初に挨拶をして履歴書をお預かりした後に、本部作成のDVD(約10分)を応募者に観ていただきます。その10分間に履歴書を見ながら質問事項を検討します。そしてDVD終了後に面接開始という流れです。面接時間はおよそ30分いただいていました。

 面接のポイントは、できるかぎり応募者に話をしてもらうことです。はい、いいえで答えられるような質問ではなく、その人の価値観をのぞかせるような返答をしてもらう質問がベストです。

 私がよくする質問は、「今までのお仕事(または人生)で一番うれしかったことや楽しかったことはどんなことですか?」あるいは、「あなたが一番わくわくする瞬間はどんなときですか?」です。

 こうした質問に対する返答には、その人の価値観やものの考え方が表れやすくなります。トップの経営理念や既存スタッフとの相性を見る上でも判断しやすいものとなります。

 こうしたテクニックのようなものはある程度は効果的ですが、いい人に来てもらえるために決定的に重要なものは何かについて、次回(最終回)に書きたいと思います。

2014年11月23日日曜日

人の問題に関してできること(その2)

 既存スタッフへの対応についての続きです。

 私がいたお店には、高校生のときからアルバイトをしていて、卒業後に就職のことで悩んでいた女性スタッフがいました。彼女はお店でアルバイトをしながらも、就職活動に対してなかなかアクションを起こせずにいました。

 この状況のままで、ずるずると仕事を続けても本人のためにならないと思い、何度か個人面談を実施して本人の意思を確認しました。最初はなかなか見えてこなかった意思が、次第にはっきりしてきました。

 そこで私は、彼女を時給から固定給にすることの了解をオーナーから得た後に、一般の会社で行われる新入社員教育に相当するトレーニングを始めました。

 トレーニングは過密スケジュールの中、マンツーマンで1日1時間、週3日程度を数か月にわたって実施しました。

 この中で、今まで私が気づかなかった彼女の能力や資質を発見することがありました。その後、私が想像する以上のめざましい成長を彼女が見せてくれたことは、大きな驚きでした。

 同時に、私自身の過去のマネジメントにいかに問題が多かったかを思い知らされました。

 自分はスタッフのことをよくわかっているつもりで何もわかっていない、自分が見たいようにスタッフを見ているだけなんだということに気づきました。

 話しは戻りますが、時給から固定給に変わったのは、彼女が最初のスタッフです。

 お店の状況によっては、すぐに実行することは難しいかもしれませんが、既存スタッフへの対応の一つとして、意欲のあるスタッフの待遇を変えることも検討すべきテーマだと思います。

 参考として、私がトレーニングに使用したテキストを紹介します。

 『新人研修ワークブック』(山崎紅・著、日経BP社)

 次回は、これから採用するスタッフへの対応について書きます。

2014年11月22日土曜日

人の問題に関してできること(その1)

 人の問題に対して、どのようなことができるかを考えてみたいと思います。

 一つは、現在のスタッフに対してできること、もう一つは、これから採用する人に対してできることに分けて書きます。

現在のスタッフへの対応


 今、在籍しているスタッフは、お店や仕事にどれくらいの満足感を持っているでしょうか。楽しさややりがいを感じてくれているでしょうか。意欲を持って仕事に取り組んでいるでしょうか。何か困っていることや悩みはないでしょうか。

 毎日のように顔を合わせていると、スタッフが少しずつ変化していることに気づかないことがあります。ある日、スタッフから急に退職の申し出があったりして、慌てるようなことはなかったでしょうか。ときどき立ち止まって、考えてみる必要があるかもしれません。

 まずは、今お店にいらっしゃるスタッフ一人ひとりの、お店や仕事への満足度を上げる努力が必要です。普段から良好なコミュニケーションがとれているオーナーさん、店長さんでしたらあまり心配はありませんが、仕事に関係のあることしか話さない私のようなタイプは要注意です。

 お恥ずかしい話ですが、私自身、スタッフの悩みや不満に気づかず、代わりに話を聞いたオーナーに言われて初めてわかったということが何度かありました。これは、店長としての私のマネジメントに起因する問題です。

 と同時に、トップのマネジメントのやり方がスタッフの満足感や働きがい、意欲にも大きく影響を及ぼすと言うことができるでしょう。まさに、『小さな組織はトップで決まる』のです。

 私は意識して、できるかぎり仕事の合い間に、二人で面と向かって話をする時間を設けるようにしました。今振り返れば、それでも十分でなかったと思っています。定期的に個人面談を実施してヒアリングをするのもよいかもしれません。

 そのほか、既存スタッフの待遇面に関して私が行ったことについて、次回に書きます。

2014年11月21日金曜日

採用に関する悩み

 お店のトップが抱える一番の悩みは何でしょうか。

 私の経験ではやはり、人に関することでの苦労が最も多かったような気がします。今振り返ると、お店は慢性的に人手不足の状態で、とくに繁忙期やキャンペーン期間中はスタッフの皆さんに忙しい思いをさせてしまったことが多々あります。

 募集方法は、おもに店頭ポスターの掲示とハローワークの紹介、そして必要に迫られた時に求人誌や新聞への広告掲載に頼るといった状況でした。

 開店からしばらくの間は、店頭ポスターのみでほとんど間に合っていました。しかし、この数年はほとんど応募がない状況で、たまにハローワークからの紹介で採用できることがありました。

 このような状況は当店だけの現象ではなく、コンビニ業界全体に広がっている問題だと思います。飲食店やファーストフードなどの他業態を見ても、採用に困っていないところはほとんどないように思われます。

 大変残念なことですが、コンビニ業界は他業種と比較して給与水準が低く、勤務先としてのイメージも決して良いとは言えないと思います。生涯働く場としてではなく、どちらかというと、短期間に都合よく働く場というイメージを持たれがちです。コンビニ業界に身をおく者として不本意で、とても残念に思います。

給与水準が低い⇒いい人が集まらない⇒売り上げやイメージが上がらない⇒儲からない⇒給与を上げられない

 この負のスパイラルから抜け出せないかぎり、コンビニ業界は繁栄していかれないのではないかと危惧します。たとえ、本部の収益が上がっていても、お店が元気でなければいけません。

 これを改善していくのは簡単なことではありません。フランチャイズシステムや、少子化問題、あるいは政治に理由を求めてもすぐには解決しないでしょう。今できることを考えて、一つずつ取り組むしかありません。

 それでは、何に取り組めばよいのかについて、次回に考えたいと思います。

2014年11月20日木曜日

トップが持つべきビジョン、経営理念(その2)

 お店のトップが持つべきビジョンや経営理念を難しく考える必要はありません。

 肝心なことは、どういうお店にしたいのかを自分なりに考え、言葉にして表現することです。
 その際、
1.お店のスタッフにとってどういうお店にしたいのか
2.地域のお客様にとってどういうお店でありたいのか
3.トップである自分自身はどういう経営者になりたいのか

3つの視点から考えるとよいでしょう。

 24時間、365日営業のコンビニ経営が想像以上に過酷であることは、ほとんどのオーナーさん、店長さんが感じることでしょう。目前の仕事に追われて、毎日があっという間に過ぎ去っていきます。小難しい経営理念など考えなくても、仕事に支障はないでしょう。

 しかし、ビジョンや経営理念を掲げながら、機会あるごとに振り返ってみることができれば、一緒に働いてくれているスタッフはどれだけ成長しているだろうか、お客様はお店に満足してくださっているだろうか、あるいは自分自身はどれだけ成長できただろうか、などということについて感じ取ることができるかもしれません。

 そして、それはそのまま自身のやりがいにつながるかもしれません。いつの日かお店を去る時に、振り返ってみたら何も残らなかったというのでは、とても寂しい気がします。

 偉そうなことを書きましたが、私自身も開店以来、不安な毎日を過ごしました。今のやり方で良いのだろうか、ほかにもっと良い方法があるのではないかといった不安から、有名な経営者などの本も読み漁りました。松下幸之助、稲盛和夫、本田宗一郎、渋沢栄一、P.F.ドラッカー等々。

 しかし、そこに答えがあるわけではありませんでした。最終的には、自分の頭で考え、行動することでしか道は開けていかないことに気づきました。

 そのような中で、とても感銘を受けた一冊の本があります。長野県の伊那食品工業株式会社社長(当時。現在は会長兼CEO)の塚越寛さんの著書『いい会社をつくりましょう。』(発行:文屋)です。平易な文体の中に経営の真髄のようなものを感じさせる内容です。経営理念を考える際の参考になるかもしれません。

 コンビニ経営は、本部の政策や方針にとかく流されがちです。経営者としての視点を高くとりながら、自店の経営理念について考えてみることをおすすめします。

2014年11月19日水曜日

トップが持つべきビジョン、経営理念(その1)

 前回の記事の終わりに、ビジョンや経営理念について少し触れましたので、今日はこれについて考えてみたいと思います。

 コンビニエンスストアの多くは、フランチャイズ契約を個人でしており、法人の場合でも、大きな組織であるケースは少ないと思います。一般的に、それなりの規模の会社になると、企業理念や社是なるものがあって、それが社員にもある程度は浸透しているでしょう。

 それでは、おもに個人や小規模法人が経営しているコンビニには、そのようなものは必要ないのでしょうか。

 ちなみに、本部の主要各社のホームページをみると、企業理念については以下のように掲載されています。

 『既存中小小売店の近代化と活性化』『共存共栄』(セブン-イレブン)

 『私たちは”みんなと暮らすマチ”を幸せにします』(ローソン)

 『あなたと、コンビに、ファミリーマート』(ファミリーマート)

 『わたしたちは、社会に信頼され、成長し続ける企業をめざします』(サークルKサンクス)

 本部の企業理念をそのまま自店の経営理念としているオーナーさんや店長さんはほとんどいらっしゃらないと思いますが、私個人の意見としては、お店のトップがご自身のビジョンや経営理念を明確にして、それをスタッフ全員にしっかり伝えるべきだと考えています。

 ただ、それが単なるスローガンのようなものではなく、トップ自身の価値観から出たもので、肚の底から出るような言葉を伴ったものでなければ、人の心を動かすことは難しいと思います。

 世間でよく言われることの中に、『小さな組織はトップで決まる』というものがあります。コンビニのような小さな組織では、意識をするとしないとにかかわらず、トップが持つ組織への影響力は極めて大きいと言えるでしょう。

 ちなみに、私の場合は紙に印刷した「経営理念」をバックルームに掲示して、スタッフの入社時やトレーニングの際に必ずお話しするようにしていました。もちろん、自分なりに考えて練りこんだ経営理念です。

 その経営理念がどのように作られたかについては、次回に書きたいと思います。

2014年11月18日火曜日

自店の戦略を考えることの重要性(その2)

 では、そのハード面での特徴を踏まえて、お店はどのように対応すればよいのでしょうか。

 私の場合は、お客様のご利用の傾向に合わせて、お客様をお待たせしないことを最重点に考え、スタッフに徹底させました。つねにお客様の動きに目を配り、できるかぎりお待たせしない接客をスタッフにお願いしました。

 これにはスタッフの観察力と、スタッフ同士の連携プレイが要求されます。お客様をお待たせしないようにすると、スタッフにはとても負荷がかかるものです。そのため、スタッフ全員によく説明し、理解をしていただきました。

 お客様をお待たせしない接客は、必然的に短時間で接客を終わらせることを志向するようになります。レジでのスピーディな動きだけでなく、いかに無駄なくスマートに仕事を進めるかという思考も求められます。

 このような接客スタイルは、のんびり買い物がしたい、お店のスタッフとゆっくりお話ししたいというお客様を遠ざけるだけでなく、お客様との会話を楽しみたい、最高の接客サービスを提供したいというスタッフにも受け入れにくいものとなります。これは大きなデメリットです。

 しかし、すべてのお客様に対応することは困難です。お店側がどういう接客サービスをしたいかということよりも、大多数のお客様がどういう接客スタイルをお店に求めているかということを優先してお店は対応せざるをえません。

 ここにお店の経営戦略を考える余地があるのです。そして、これがソフト面での差別化ということにつながります。

 ハード面で差別化を図るには店舗改装や立地移転等が必要となるため、まずお店で考えるべきはソフト面での対応ということになります。

 やはり、自店のハード面での特徴に合った独自の接客サービスや品揃えを考え、対応することが重要だと言えるでしょう。

 そのソフト面での対応がオーナーさんや店長さんの持つビジョンや経営理念と融合した時、お店の持つ力が最大限に発揮されるのではないでしょうか。

 ソフト面での差別化を考える上で、自店の品揃えをどのようにするかは最重要課題です。それがお店の売り上げと利益に直結するからです。

 これについては、また改めて書きたいと思います。

2014年11月17日月曜日

自店の戦略を考えることの重要性(その1)

 コンビニエンスストアを経営しているオーナーさんのほとんどは、フランチャイジーとしてチェーンに加盟していますが、コンビニ全体の店舗数が増加するにつれて、同じ地域に同じチェーンの看板を掲げて商売をするケースが多くなってきます。

 そうなると、同じチェーン同士で競合することになるため、他店との差別化が難しくなります。これについてはどのように考えればよいのでしょうか。

 競争優位の戦略ということから考えると、やはり差別化がもっとも重要な考え方となります。そこで、ハード面とソフト面での差別化について考えてみたいと思います。

 私が勤務していたお店は、地方都市の中心部から離れた、まだ周辺に田畑が残るような地域の生活道路沿いにあります。都心部とは異なり、競合店が密集するような環境ではなく、冒頭で述べたような厳しい競合状態にあるとは言えません。

 しかし、店長としてお店の経営戦略を考える上で、つねに意識していたことがあります。

 お店の駐車場はかなり広いほうで、道路からの見通しもよく、店舗前の道路もあまり渋滞することがありません。お客様から見ても、駐車場に入りやすく出やすい、いわゆる接近性の良いお店ということになります。

 これを反映してか、お客様の買い物の仕方はどちらかというと、せっかちなものになる傾向があります。できるだけ短時間に買い物や公共料金などの支払いを済ませたがるお客様の行動パターンが目立ちます。

 お客様がどのような目的でお店を選んで利用するかは、もちろん、商圏内の他業態を含めた競合店の状況によって変化しますが、店舗や駐車場の大きさなどのハード面もお客様のご利用の仕方に大きな影響を与えると考えられます。

 せっかちなお客様が多い、公共料金の受付やATMのご利用がお店の客数のわりに多いという理由を、私はお店のハード面での特徴と関連付けて考えました

 つまりそれは、お店の商圏にせっかちな住民が多いからではなく、近隣に金融機関がないからでもなく、お店のハード面での特徴に利便性を感じるお客様を反映している結果だと考えたのです。

 (その2)に続きます....

2014年11月16日日曜日

ごあいさつ

 はじめまして。Goodzukaと申します。
 ブログにお越しくださり、ありがとうございます。

 このブログでは、コンビニ業界での勤務経験の中から私が学んだことや、これからのコンビニ業界の展望などについて感じるままに綴っていきます。

 本部社員としてお店を見る立場と、店舗スタッフとしてお店で働く立場とでは、ものの見え方や考え方はまったく違ったものになります。

 両方の立場で働いた経験を持つ者として、どちらにもやりがいや苦労がありましたが、私自身はお店で店長として働き、苦労した中に、働きがいや学び、そして人としての成長があったような気がします。

 本部社員だった時と大きく異なるのは「緊張感」の大きさです。会社員とは違い、お店で働く者には、自分たちを守ってくれるものは多くありません。お店の経営が立ち行かなくなれば、オーナーさんをはじめ、すべてのスタッフがただちに働く場を失ってしまいます。

 私は加盟店のオープンから店長を任され、一人でお店を切り盛りしなくてはなりませんでしたので、お店を守ることに大きな責任と緊張、それにときおり孤独も感じる中で仕事に取り組みました。

 店長として一番に心がけたことは、予算の達成です。とくに純利益の予算達成には、開店以来ずっとこだわり続けてきました。お店の利益に責任を持つことが店長の最大責務だと考えていたからです。

 言うまでもなく、お店の経営を成り立たせるのに最も重要なものは「利益」です。ただ、利益は経営の最終目的ではなく、お店を永続させるための「手段」であると言えます。

 お客様の利便性や満足度を向上させることと、お店の利益を確保することのバランスをいかにとるか。そこに店舗経営の難しさと要諦があると言えるでしょう。

 生活者にとって存在感が大きいわりに、コンビニ業界の社会的な地位は決して高いものとは言えないのが現状です。

 お店が安定的に利益を確保でき、お店で働く皆さんが物心両面にわたって豊かになることが、これからのコンビニ業界の発展と社会的地位向上のために求められるのではないでしょうか。

 このブログでの私の駄文が少しでもお店経営の参考になることがあれば、私にとって、これほどうれしいことはありません。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。