2016年2月24日水曜日

興味深い「まいばすけっと」のビジネスモデル

 イオングループには東京、神奈川県内に展開している「まいばすけっと」という都市型小型スーパーマーケットがあります。

 私は利用したことがないのですが、積極的な出店によって勢いを増しているという情報を目にすることがあります。

 ローソンストア100のような生鮮コンビニに似ていますが、均一価格ではなくコンビニと比べて割安感のある価格設定をしているようです。

 私が注目するのはそのビジネスモデルです。

  • コンビニや小型スーパーの店舗跡の居抜き利用で出店している
  • 地域集中出店をして、近隣店舗同士で機能を補完するケースもある
  • TVCMや新聞折込み等の広告宣伝をほとんど行わない
  • 7~24時営業を基本とし、深夜営業を行わない
  • 公共料金や宅配便等のサービス受付業務がない
  • イオンのPB商品を充実させて割安感とスケールメリットを実現
  • イオングループ直営のため社会保険等の福利厚生が充実している

 このように出店コストや経費を抑えることによって、直営でも利益が出せるビジネスモデルになっているようです。直営店なのでドミナント出店による悪影響にも対応しやすいでしょう。

 店舗の業態から見てかなりの部分でコンビニエンスストアと競合するものと思われますが、同じイオングループのミニストップの現在の店舗数から考えれば、まいばすけっとの出店を抑制する要因にはなりにくいでしょう。

 その意味では、「まいばすけっと」のようなビジネスモデルをもっとも推進しにくいのはイトーヨーカ堂かもしれません。

 「まいばすけっと」のビジネスモデルと比較してみると、コンビニのビジネスモデルが持つ課題が透けて見えてくるような気がします。

2016年2月22日月曜日

TVCMに見るセブン-イレブンのイメージ戦略

 現在開催中の女子スキージャンプのワールドカップ高梨沙羅選手が3回目の総合優勝を成し遂げました。中学生の時に大倉山で141メートルの女子最長不倒距離で優勝して以来、高梨選手に注目してきました。

 私自身、子供の頃からスキージャンプを観るのが好きで、1972年の札幌冬季五輪で日本選手が金・銀・銅を独占したのをまだ覚えています。

 テレビのドキュメンタリー番組などで高梨選手がスキージャンプに取り組む様子を観たことがありますが、選手としての鍛錬だけでなく、先輩に対する感謝や謙虚さ、ひたむきさが伝わってきて、非常に好感が持てました。高梨選手を応援したいと思う人は多いのではないでしょうか。

 その高梨選手のご実家がセブン-イレブンを営んでいるということで、最近はテレビコマーシャルが流れています。

 このTVCMは珍しく、商品の宣伝がまったく含まれておらず、高梨選手のご実家が営んでいるお店の映像と高梨選手のメッセージがリンクされ、最後に「セブン&アイは高梨選手を応援しています」というアナウンスが流れるだけです。このCMは1つのイメージ戦略といえるでしょう。

 「高梨選手」と「セブン-イレブン」のイメージをリンクさせることで、セブン-イレブンのイメージをアップさせることがこのTVCMの狙いの1つだと思います。

 「高梨選手 W杯総合優勝おめでとうセール」などを開催しても良さそうなものですが、高梨選手のTVCM起用はあくまでイメージアップ戦略であって、商品の拡販などを目的としたものではないのかもしれません。

 話は変わりますが、JRAで16年ぶりに女性騎手が誕生することが話題となっています。18歳の女性で、名前は藤田菜七子ななこ)さんです。

 そのイメージとお名前セブン-イレブンのイメージ戦略にぴったりなような気がします。

2016年2月20日土曜日

問われるFC加盟者の「事業者性」

 以前の記事にも書きましたが、昨年の4月に東京都労働委員会が(株)ファミリーマートに出した命令書を改めて読みますと、重要な視点が書かれていることに気づかされます。

 命令書には、「本件における加盟者は、労働組合法上の労働者に当たると都労委が判断したポイントとして次のように書かれています。

  1.  本件における加盟者は、会社の事業遂行に不可欠な労働力として組織内に確保され、組み入れられていること、 
  2.  その契約内容は、会社によってあらかじめ定型的に定められたものであること、
  3.  加盟者の得る金員は、労務提供に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有するものといえること、
  4.  加盟者は、会社からの業務の依頼に応ずべき関係にあること、
  5.  広い意味での指揮監督の下で労務提供している実態があること、
  6.  本件における加盟者が顕著な事業者性を備えているとはいえないこと。以上のことから、本件における加盟者は、労働組合法上の労働者に当たる。

 命令書の別紙には上記 6. の判断要旨として、「加盟者には、自らの独立した経営判断に基づいてその業務内容を差配して収益管理を行う機会が実態として確保されているとは認め難く、実態として顕著な事業者性を備えているとはいえない。」とあります。

 これは、「独立した事業者」として加盟者が独自の裁量や経営判断の下で業務内容を取り仕切って収益管理が行える実態があるかどうかが問われているということでしょう。

 現在、本件については中央労働委員会で審査が行われていると思われますが、中労委の判断結果によっては、チェーンを超えて業界にインパクトを与えることになるかもしれません。

2016年2月19日金曜日

デイリー商品の見切り販売について考える

 最近、食品廃棄物の削減についての議論が盛り上がりを見せています。

 海外ではフランスが、国内では一部のNPO法人などが食品廃棄物の削減に向けた取り組みを行っていることが報じられています。

 コンビニ業界においても日々、大量の食品廃棄物が排出されていますが、廃棄物削減のための1つの方法として「見切り販売」というものが考えられるでしょう。

 弁当をはじめとするデイリー商品の見切り販売に関しては、2009年にセブン-イレブン・ジャパンが公正取引委員会から排除命令を受けた件で大きくクローズアップされました。

 しかし、私が見た限りではその後、セブン-イレブン店舗においてデイリー商品の見切り販売が増えた印象はありません。

 見切り販売によって廃棄(不良品)が減らせる効果は確かにあるように思われます。食品スーパーなどでは日常的に行われていることです。

 「見切り販売をすることによって正価の商品が売れにくくなるのではないか」という議論がありますが、見切りを一律的に実施するのではなく、売り場状況や納品予定数などに応じて臨機応変に実施することで、全体の売上を落とさずに廃棄を減らすことは可能でしょう。

 また、閉店時刻が決まっている食品スーパーとは違って、24時間営業のコンビニでは見切りのタイミングが一定時間帯に集中しないため、お客様が値引きのタイミングを見計らって買い控えるということも起こりにくいでしょう。

 フランチャイズシステムの構造上、本部が見切り販売に消極的な立場であることは理解できますが、食品廃棄物の削減という社会的要請に応えるためにも加盟店が見切り販売をしやすい環境を本部は整える必要があるのではないでしょうか。

2016年2月14日日曜日

ファミリーマートがFC加盟の新パッケージを導入

 ファミリーマート高齢の新規加盟希望者向けに新しいパッケージを導入するとホームページで発表しています。
このたびの新パッケージでは、フランチャイズ契約期間を従来の加盟パッケージの半分となる5年間の契約とすることで、よりファミリーマートへの加盟を検討していただきやすくするとともに、75歳までの店舗運営が可能になりました。 

とのことで、 加盟時に61~70歳の方が5年の契約期間で加盟できるようです。詳細は15日(月)に公開予定としています。

 61~70歳の高齢者を加盟者のターゲットとしているのは、おそらく

  • 定年退職者が退職金を使って開業することが見込める
  • 年金が受給できる年齢のため最低限の生活には困らないという加盟者の考え
  • 契約期間が短く、更新も少ないので契約に関するトラブルが起こりにくい

などの理由からでしょう。

 ロイヤリティ等の詳細がまだわからないので何とも言えませんが、今後はこうした新契約タイプの開発や導入が各チェーンとも増えていくのではないでしょうか。ローソンも新しい契約タイプをすでに導入しています。

 新たな契約タイプを導入しても今後の新規加盟が増えていかなければ、次の段階として廃棄や水道光熱費等の本部負担の増額、それでも成果が出なければチャージ、ロイヤリティの減額に着手せざるを得なくなるのではないでしょうか。

 ただ、新しい契約タイプの導入にあたっては既存店との公平性に配慮する必要があるため、段階的に進めていくよりも、大元となるチャージ体系を一気に変えたほうが改善のスピードは早くなるような気がします。

2016年2月12日金曜日

求められる「加盟店見守り隊」

 本日の日経平均株価の終値が1万5000円を割り込みました。円高も進んでいます。

 今後も株価が下がり続け、円高も進むとしたら日本経済に与える打撃は深刻なものとなるでしょう。

 企業業績への悪影響や消費マインドの冷え込みによって景気が後退する恐れがありますが、なかでも心配なのは年金積立金です。

 国民の年金資産を運用しているGPIF年金積立金管理運用独立行政法人)は、株価下落により昨年の7~9月期に約8兆円もの損失を出し、それによって年金資産が目減りしています。

 今後も株価下落が続けば損失額は巨額なものとなる恐れがあります。

 そのため、厚生年金未加入の事業所に対しての政府の対応がより厳しくなることも考えられるでしょう。

 また若い世代を中心に、年金に対する信用や期待がさらに損なわれることによって、厚生年金への加入や国民年金の納付を渋る従業員が増えることにもなりかねません。

 将来的には年金給付減額年金支給開始年齢引き上げの可能性も出てくるでしょう。

 加盟店の経営環境がますます悪化する恐れがありますが、これから求められるのは「加盟店を守るセーフティネットの構築」ではないでしょうか。

 社会保険料負担の増大、最低賃金の上昇、同一労働同一賃金の法制化など、加盟店を取り巻く様々な経営課題に取り組む「加盟店見守り隊」のような存在が必要だと思います。

2016年2月11日木曜日

テレビが株価下落を報じない不思議

 昨日、1年3ヶ月ぶりに日経平均株価1万6000円を割り込みました。

 テレビのニュース番組でチェックしようとしましたが、夜7時と9時のNHKニュースでは株価下落について全く報じませんでした。

 私が確認した限りでは、昨日の夜にきちんと報道したのはテレビ朝日「報道ステーション」だけで、あとは日テレ「NEWS ZERO」が短く報じただけでした。

 トップニュースになってもおかしくない内容だけに、とても違和感を覚えました。

 何か報道規制がかかっているのか、あるいは最近の総務大臣の発言等でテレビ局の腰が引けているのかなどと邪推してしまいます。

 為替も大きく円高に振れており、日経平均株価と合わせて明日の動向が注目されるところです。

2016年2月9日火曜日

加盟店で不祥事が発生した場合の本部対応

 ローソンのホームページのトップに「加盟店従業員のポイント不正取得についてのお詫びとお知らせ」というものが掲載されています。
富山県の弊社加盟店従業員が、ポイントカードをお持ちでないお客さまの精算時に自分のポイントカードをスキャンして、ポイントを不正取得していたことが、お客さまによるWeb上への写真掲載により判明いたしました。店舗と従業員を特定し、本人に事実確認を行ったところポイント不正取得を認め、2月6日(土)付けで退職しております。今後は不正に取得したポイントを調査し、回収する予定です。

 お知らせには経緯の説明とともに本部の問い合わせ先も掲載されています。

 加盟店で発生した不祥事を本部がホームページで公表し謝罪するケースは稀ですが、私はこのお知らせを読んで、ローソン本部に対して好印象を持ちました。また、チェーン本部に対して世間の人々が求めていることをローソン本部はよく理解しているなと感じました。

 最近は加盟店で起こった不祥事について本部の対応を問う声をネット上でよく目にするのです。

 異物混入事件の対応で評価が分かれたマクドナルドまるか食品(ペヤング)を見ても、問題がネット上で発覚した場合の対応にはスピードが求められます。リスク管理という側面から見ても、今回のローソン本部の対応はパーフェクトと言えるのではないでしょうか。

 「独立した事業者である」加盟店で発生する様々な問題に対して、本部がどのような対応をするか、またどのような態度をとるかについて注目する人は今後ますます増えるでしょうし、その期待に本部が応えられなければ世間の風当たりが強まる恐れもあるでしょう。

2016年2月8日月曜日

人手不足解消のための現実的な対策

 多くのお店で人手不足が深刻な問題となっています。

 人手不足解消のために本部が打つべき対策は様々に考えられますが、その中で最も現実的なものとして、深夜営業の縮小が挙げられると思います。

 深夜営業の規制については、数年前に地球温暖化対策の一環として話題になった時期がありましたが、コンビニチェーン本部等の反対もあって実現には至りませんでした。

 加盟店の立場からみて、深夜営業の縮小・休止から得られるメリットには大きなものがあるでしょう。

 長野県軽井沢町条例で深夜営業を規制しており、23時から翌朝6時まで商店は営業できません。店長時代には常々、軽井沢のお店が羨ましく思っていました。

 大都市の一部を除いてコンビニの深夜営業をオーナーの選択制にするなどの対応を本部がすることができたら、人手不足問題の解消に寄与するのではないでしょうか。

 本部からみても、深夜営業の縮小による収益の減少は最小限に抑えられるはずですし、「環境に優しい」「加盟店に配慮した」政策として、株主や投資家だけでなく消費者からも賛同の声が上がるでしょう。

 加盟店の経営環境に配慮しない過度の利便性追求は加盟店を疲弊させ、それがお客様の満足度を下げる結果となり、やがて業界の衰退を招くことを強く危惧します。

 現在のコンビニ業界は本部とお客様がWIN-WINの関係になっていて、加盟店だけが取り残されているような気がしてなりません。

 本部・加盟店(スタッフを含む)・お取引先・お客様のすべてがWINとなる方策を真剣に検討すべき時が来ているのではないでしょうか。

2016年2月2日火曜日

「脱チェーンストア理論」の難しさ

 新聞や業界誌で目にする「脱チェーンストア理論」という言葉が気になったので調べていたところ、セブン&アイHLDGSの鈴木会長の対談記事を見つけました。

 この対談で鈴木会長は次のように発言しています。
 この10年間、おかげさまでグループは成長を遂げてきましたが、個々の事業会社に格差が生じていることも事実です。私としては各社に対して同じように方針や指示を出しているのですが、その指示を素直に受け止めて実行する会社と、過去の仕事の仕方から脱却できない会社があり、その結果、市場の変化に対する対応の差が生まれていると考えています。

 そしてもはや、いわゆるチェーンストア理論では、お客様のニーズに応えられない時代になりました。私はつねづね、環境の変化に対応することこそが大切であると言い続けてきましたが、スーパー事業などは、過去の成功体験から抜けられずにいました。そのため、年頭から「脱チェーンストアオペレーション」を掲げ、従来のやり方を大幅に変える方針を打ち出しました。店が中心となって商圏に合った品揃えを目指し、本部はその実現に向け魅力ある商品開発を行い、店はさらに本部に要望を伝える仕組みに転換していきます。また、セブン‐イレブンは創業以来続けてきた店と本部の関係をさらに進化させ、商品開発とオペレーションの組織をより細かく分割し、地域性を採り入れたMD(マーチャンダイジング)と店の運営を図ります。

  業績に苦しむイトーヨーカドーと好調なセブン-イレブンを対比させながら話を進めていますが、両社の業績の違いはそもそも前提となるビジネスモデルの違いによるところが大きいのではないでしょうか。

 セブン-イレブンにおいて「脱チェーンストア理論」を突き詰めれば、それはお店への権限委譲、裁量の拡大の論議につながって、FC契約そのもののあり方が問われることになるような気がします。