2016年9月14日水曜日

1分単位で賃金を支払わなくてよいケース

 労働基準法に「減給の制裁」に関する規定というものがあります。
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。 (第91条)

 例えば、従業員さんが1分遅刻をした場合に14分労働した分の賃金を支払わないことができるということです(この14分は上限内でもっと増やすこともできます)。

 遅刻した1分は働いていないのですから賃金を支払わなくてよいのは当然として、実際に働いた14分についても就業規則で減給の制裁として定めておけばその分の賃金を支払わなくてもよいとすることができるのです。

 ここで重要な点は、あらかじめ「就業規則」で減給となる事由や時間数等を定めて、全従業員さんに周知しておくことが必要になるということです。

 条文にあるように、減給には上限がありますし、合理的かつ社会通念上相当と認められるものでなければ無効となります。

 就業規則には労働基準法で定められた「必ず記載しなければならない事項」を載せなければならず、それには休日、休暇も含まれます。

 また、常時使用する労働者が10人以上の場合には、労働者の過半数を代表する者の意見書を添付して、就業規則を労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 つまり、減給の制裁をするためには、労働基準法で定められている様々な条件をクリアすることが必要となるわけです。

 コンビニ業界にあっては、とても高いハードルだと言わざるを得ないのが現状でしょう。

2016年9月13日火曜日

勤務時間管理の背後にある重要なもの

 15分刻みであった勤務時間計算を1分単位に変更した場合、これは間違いなく人件費アップの結果を招きます。

 どの程度アップするかは、普段の仕事の進め方や主体者のマネジメントの仕方によって変わってくるでしょう。

 勤務時間内にきちんと仕事が完了するように普段からスタッフ全員が心がけ、作業割り当ても機能しているお店では人件費のアップ率は比較的小さいでしょう。

 反対に、主体者が仕事の進め方について従業員さん任せにしていて、半ば放任のような状態になっているお店ではアップ率は大きくなると思います(従業員さんに仕事を任せることを否定する意味ではありません)。

 特にシフトの継ぎ目の時間帯での作業分担や引き継ぎの仕方によってアップ率が変わってくることを考えると、この時間帯における従業員さんの行動についてお店ごとにルールを決めておくというのが1つのやり方かもしれません。

 いずれにしても、1分単位の勤務時間計算に変更する際には、事前に全従業員さんにその趣旨や注意点等をきちんと説明し、理解・協力してもらう必要があるでしょう。

 特に注意したいのは、普段からサービス残業を厭わず、善意で無償の労働をしてくれるようなスタッフの方がいる場合です。対応を間違えると、関係がギクシャクするといったことにもなりかねませんので特に配慮が必要です。

 また、固定給の従業員さんがいる場合には、これによってその従業員さんの負担がさらに増してしまう可能性があることにも注意が必要でしょう。 

 今回の件は単なる勤務時間の計算方法変更として捉えるのではなく、作業割り当てを含めた自店のマネジメントのあり方を考える機会と捉えたほうが良いかもしれません。

2016年9月12日月曜日

1分単位の勤務時間管理について

 昨今、複数のチェーンにおいて、残業時等での勤務時間の計算方法の件が話題になっています。

 勤務時間の計算方法をめぐって問題となるケースは様々ですが、最も問題となるのはオーナーさんや店長さんが従業員さんに対して実質的にサービス残業(ただ働き)を強要しているケースでしょう。例えば、

  • 15分刻みの計算システムの下で、9時から15時までの勤務シフトの従業員さんに対して、8時46分に出勤、15時14分に退勤の登録をさせたうえで、実際にその時間に仕事をさせた場合
  • 決められたシフト以外の勤務は認めないとして、勤務シフト前後の勤務記録を修正(カット)した場合

などがあるでしょう。

 法令に則れば、労働した時間に対して1分単位で賃金を支払うのは当然のことです。今までこうしたことが問題として取り上げられなかったのが不思議なくらいです。

 しかし、昨今のブラック労働問題働く側の権利意識の高まりによって、こうした問題はネットなどを通じてとても速いスピードで表面化するようになりました。

 こうした流れはこれからますます強くなっていくように思われます。

 このまま放置しておけば人件費がさらに増えてしまうこの問題について、お店としてどう対処すればよいのか、次回に考えてみたいと思います。

2016年9月8日木曜日

同一労働同一賃金について

 現在、政府が掲げている「働き方改革」の中の大きな柱の1つとして、同一労働同一賃金の実現というものがあります。

 大雑把にいいますと、正社員と非正社員との間の賃金格差を縮めようという政策です。

 ヨーロッパをはじめとする海外では「職務給」といって、仕事の内容によって賃金が明確に決められており、時給換算した時の正社員と非正社員の賃金格差がほとんどない国が多いそうです。

 日本の場合は、企業別の「職能給」の下で、勤続年数や年齢に応じて賃金が上昇していく、いわゆる「年功序列」の賃金体系となっているところがほとんどです。

 非正社員は年齢が高くなっても賃金の上昇の伸びが少ない一方で、正社員は年齢とともに賃金が上昇し続けて、50歳代をピークにその後は下降するという動きをするのが一般的です。

 同一労働同一賃金を実現するために大きな障壁となるのが、この50歳代を中心とした正社員・非正社員の賃金の格差をどのようにして縮めていくのかという問題です。

 幸か不幸か、コンビニ業界ではこの正社員と非正社員の賃金格差の問題は起こりにくいのが現状だと思います。

 ただ、これからの同一労働同一賃金の議論や法制化の流れを見越して、今のうちに自店の賃金体系を見なおしておいたほうが良いかもしれません。

 例えば、社員の給与の内訳を「基本給+役職手当」として、基本給の部分については時給者の賃金とのバランスを考えて金額を設定するといったことです。

 また、時給者のシフトリーダー制を導入しているお店の場合は、基本時給は他の時給者に合わせたうえで、シフトリーダーとしての時給上乗せ分を明確にするといった対応です。

 こうした対応は、同一労働同一賃金の議論とは別にして、従業員さんの給与に対する不満や不公平感を生じさせないためにも重要なことのように思われます。

2016年9月5日月曜日

セブンイレブン化する新生ファミリーマート

 今月1日にファミリーマートとサークルKサンクスが経営統合されました。

 これによって、新生ファミリーマートの店舗数はセブン-イレブンにほぼ並びました。平均日販にまだ差はあるものの、その差を詰めようと新生ファミリーマートは今後も様々な手を打っていくことでしょう。

 その中で注目されるのは、チャージ(ロイヤリティ)体系の変更です。

 以前よりもチャージ率を上げる代わりに、水道光熱費や商品廃棄等に対しての本部負担を増やすようです。これはセブン-イレブンのやり方にかなり近づいたといってよいでしょう。

 同時に、日常の業務においても、加盟店に対する本部の関与の度合いがさらに増すことになるでしょう。この意味においてもセブン-イレブンに近づいたといえると思います。

 ファミリーマートの経営幹部にはセブン-イレブン出身の方が少なくありません。いわば、セブン-イレブンの手の内を知り尽くしている幹部がファミリーマートの経営陣にいるのです。

 サークルKサンクスからファミリーマートへの看板替えはこれから徐々に進んでいくと思いますが、私の家の近所にあるサークルKはどうなるのか、焼き鳥StyleONEなどの特色あるサークルKサンクスの商品の取扱いが今後どうなっていくのかが個人的に気がかりなところです。

2016年9月2日金曜日

『コンビニ人間』を読みました

 話題の芥川賞受賞作、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を読みました。

 小説を読んでこんなに笑ったのは、多分これが初めてではないかと思います。とにかく面白い作品でした。

 おそらく、この小説を最も楽しく読めるのはコンビニ関係者、なかでもお店で働く人や働いた経験のある人でしょう。

 実際にお店で働いた者にしか感じ取ることができないであろうリアルな描写にあふれています。人物描写が巧みで一人ひとりのキャラが立っているため、より一層、現実感が増しています。

 主人公はオープニングスタッフとして18年もの間、同じコンビニで働き続ける女性店員で、無遅刻・無欠勤の設定となっていますが、作者の村田さんも実際にこれに近いのではないかと推察します。

 外国人アルバイトさんが登場したり、人手不足で店長が夜勤に回ったりするなど、現在のコンビニ業界が置かれている状況も描写されているほか、コンビニ店員に対する世間の人の見方や社会的地位というものが登場人物の発言を通してリアルに描かれています。

 作品からは作者の深いコンビニ愛が感じられ、お店で働く人が読めば元気づけられる人もいるのではないでしょうか。

 ひとつ注意点があるとすれば、電車の中などの公共の場所で読む場合でしょう。

 面白くてつい声に出して笑ってしまう可能性があり、周りの人に不審がられるかもしれません。

2016年9月1日木曜日

社労士試験を受験しました

 3ヶ月ぶりの投稿となります。先日の日曜日に社会保険労務士試験を受験しました。昨年に引き続いて2回目の受験です。

 当ブログに私の受験への取り組みのページを載せていますが、昨年の反省を踏まえて勉強方法の修正をしながらの長く苦しい1年間の学習生活が終わりを告げました。

 今は、試験が終わったという開放感と少しの安堵感、それに自分なりにやり切ったという満足感が入り混じったような感じです。ただ、11月11日の合格発表までは落ち着かない感じで過ごすことになりそうです。


 以前から読みたくて仕方がなかった芥川賞受賞作『コンビニ人間』を今日から読み始めます。

 普段はあまり小説を読まない人間なのですが、コンビニを舞台とした小説で、しかも評判が良さそうなので読まずにはいられません。そのうち、読んだ感想をここで書いてみたいと思います。