2019年12月29日日曜日

「フランチャイズと法」についての雑感 ~ジュリスト2020年1月号特集を読んで~

 私がTwitterでフォローさせていただいている愛知大学法学部の木村義和先生が実用法律雑誌「ジュリスト」に寄稿しましたと先日ツイートをされていました。

 今号のジュリストの特集は「フランチャイズと法コンビニ問題が投げかけるもの」です。

 早速、私も入手して、特集ページ(13~49頁)をひと通り読みました。

 今日の投稿は、特集ページを読んだ私の読後感といいますか、労働法以外は全くの素人同然の私が論稿を読んだ雑感を書いてみたいと思います。


特集ページの構成

  1. 本特集に寄せて  東京大学教授 森田 修先生
  2. 契約による市場組織化  名古屋大学教授 松中 学先生
  3. コンビニフランチャイズ契約の解消  愛知大学准教授 木村 義和先生
  4. フランチャイズ契約と消費者契約法  法政大学教授 大澤 彩先生
  5. フランチャイズ取引と独占禁止法・経済法  弁護士 池田 毅先生
  6. フランチャイズ経営と労働法  神戸大学教授 大内 伸哉先生

 特集ページは以上のような構成になっていますが、本特集はフランチャイズ契約を経済学や民法、消費者法、競争法、労働法等の視点から捉え直す内容となっており、様々な角度からコンビニのフランチャイズ契約の現状を考えることで、私にとっても、視野の広がる貴重な体験ができたように感じました。

 また、ともすれば情緒的な思考に傾きやすい私のコンビニの現状への捉え方を、これらの論稿がよりニュートラルな位置に引き戻してくれたような気もしました。

 今回は、私が印象に残った箇所を中心に書き進めていきたいと思いますが、実用法律雑誌というだけあって、専門的で難解な記述が多く、私が持っている知識では十分に対応できたとはとても言えない状況にあるため、非常に浅い理解でしかないことを先にお伝えしたいと思います。また、相当な部分で私の感想が的外れなものになっている可能性が大きいことをお許しください。



木村先生の論稿について


 木村先生の論稿は、おそらく、多くの加盟店のオーナーさんが読んでも、非常に高い納得感が得られる内容であると感じました。多くのオーナーさんが日々感じていらっしゃることを代弁するような記述が多くありました。

 本稿で木村先生は、主に、本部による契約更新(再契約)の拒絶に関して筆を進められています。

 私がTwitterで多くのオーナーさんの声を見聞きする中では、本部による契約更新拒絶の問題と並んで、店舗老朽化に伴う店舗改装や、売上不振・環境変化に伴う立地移転(店舗移転)にまつわる本部との折衝や話し合いにおける苦悩や問題点も多く存在しているように見受けられます。

 本部側から見れば、店舗改装や立地移転には多額の投資が必要とされるため、その実施に至るプロセスにおいて、本部による恣意的な判断や優越的地位の濫用がより起こりやすいという側面もあると思います。

 ただ、契約更新(再契約)、店舗改装、立地移転のいずれのケースにおきましても、問題となり得る事象の元となる本質や構造は全く同一のものであると思います。

 本稿の最後に先生がご指摘のように、2020年に最大手コンビニチェーンにおいて1,000店規模での閉店が予定されているとの報道が先日ありました。

 おそらく、この1,000店舗の多くは、スクラップ&ビルド、すなわち立地移転を睨んだものであると思われます。

 こうした状況からも、本稿で先生が述べられた、本部による契約更新拒絶の問題はますます現実味を帯びてきているように感じました。



大内先生の論稿について


 開業社会保険労務士の私としては、やはり、労働法の視点からのフランチャイズ契約には非常に興味が惹かれるものがありました。

 特に、「加盟店オーナーは労働組合法上の労働者か」が争点となった、地方労働委員会による審査から中央労働委員会による再審査、決定までの流れをずっと注視してきた私にとっては、今年3月の中央労働委員会による命令には納得がいかない部分が大きかっただけに、大内先生のこの論稿には特に興味深いものがありました。

 中央労働委員会が命令の最後に結んだ「付言」。
「同格差に基づいて生じる問題については、労組法上の団体交渉という法的な位置付けを持たないものであっても、適切な問題解決の仕組みの構築やそれに向けた当事者の取り組み、とりわけ、会社側における配慮が望まれることを付言する。」

  大内先生は、この付言の意味するところについて論を展開されていますが、解釈の仕方によっては、中労委の命令もまた違ったように見えてくるというところに私は感銘を受けました。



まとめ


 本部と加盟店との間に存在する力関係や交渉力の格差がコンビニのフランチャイズ契約にまつわる問題としてよく挙げられます。

 本部の優越的な地位を現実に感じさせられる場面の最たるものとしては、本部のドミナント戦略に基づく近隣への出店でしょう。

 開店以来、着実に積み重ねられてきた加盟店のオーナーさん方の努力とその結晶であるお店の売上・利益が、本部の恣意的な出店政策によって、一夜にして崩れてしまう現状があります。

 本部がフランチャイズ契約において加盟店オーナーに約束している「配慮の中身とその実行が今、強く問われているのだと思います。

 私はその「配慮」の中身として、今回のジュリスト特集における、松中先生の経済学的な視点からの論稿契約による市場組織化」が非常に重要な視点を提供してくださっているような気がしてなりません。

 松中先生の論稿は、ともすると、本部の立場を代弁しているかのような捉え方をされる可能性がないとはいえませんが、チェーンのブランド価値を高め、全加盟店がそこからの利益を享受するという視点に立てば、また新たな方向性が見えてくるような気もします。

 私が冒頭で述べた、「私の思考がよりニュートラルな位置に引き戻された」というのはこのことです。

 いずれにしましても、他の先生方の論稿を含め、今回の特集は私にとって大変に勉強になるものであり、また、知的興奮と新たな学習意欲を湧き立たせてくれるものでもありました。

 今後も引き続き、本特集を読み込みながら、新たな視点をもってコンビニの諸問題解決のために取り組んでいきたいと決意した次第です。

 長文、駄文を最後までお読みくださりありがとうございました。